2012年9月26日水曜日

PacBioを使った国内での研究

東京大学農学部2号館で開催された、インフォマティクスオープンセミナーに行ってきました。
"Challenge to de novo sequence of relatively large genomes with new sequence technologies"
BGI、東京大学 大学院農学生命科学研究科
アグリバイオインフォマティクス教育研究ユニット
新学術領域「複合適応形質進化の遺伝子基盤解明」共催
http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/main_event.html

演題は5つあり、そのうち3つにて、PacBio RSのデータを使った話があるとのこと、これは "Must Lissen to" だろうと思っていましたが、まさにその期待通りの内容でした。

de novo Assembly がテーマなので、非モデル生物のゲノムプロジェクトの話、どうやって数ギガのサイズのアセンブリを遂行させるか、PacBioを使ったときの良いところ、改善が必要なところ、エラーコレクションの方法、リピートの処理について …etc.

改めて言うまでもないかもしれませんが、高等生物のゲノムアセンブリの場合、リピートの扱いがとても厄介なんです。 複数の繰り返し配列、segmental duplication などは、ショートリードではちゃんと正確に読むことが難しいかほぼ不可能。

そのためロングリードが救世主となるわけなんですが、Pacといえども短所があります。
長さが一定では無い(例えば出力リードの長さが "平均" 3Kbであること)
シーケンスエラーが他のテクノロジーと比べると高い(15%くらい)
ランコストがまだまだ高価(というと怒られるかもしれませんが)
などです。
そこを考慮しても、他のシーケンサーでは得られない「超ロングリード」という長所が、de novoのアセンブリにはとても魅力的なんですね。

話のほとんどがまだ論文途中のものでした。
ですが皆さん、結構オープンに話していて、会場も質疑応答が絶えませんでした。

知っての通り、PacBioはまだ日本に来て1年も経っていません(2012年9月現在)。 ですから、実際どんなもの何だろう? 本当に使えるのか?と疑問に思っている研究者は多いと思います。

アメリカでは、Early Accessと言って2年以上前から導入されていたところもありますし、現在も多くのユーザーがいて、ノウハウもだいぶ蓄積されつつありますが、なかなか日本には情報が入って来ないと思います。
そんな中、日本のPacBioユーザー、あるいはBGIのような日本のPacBioユーザーの共同研究先が、本音で語ってくれるこのような会はとても貴重でした。
我々メーカーが宣伝するより何倍もインパクトがありますからね。
オーガナイザーの長谷部先生、西山先生、門田先生には感謝です!!


さて、今回の他にも、Pacを使った日本での研究例をもっと知りたい!という方にお勧めのセミナーがあります。

10月10日(水)、パシフィコ横浜で開かれるBio Japan 2012で、「先端シーケンサーが拓く沖縄生物資源」と題したスポンサーセミナーがあります。 詳細プログラム
沖縄工業技術センターの照屋先生の講演がPacBioを使ったゲノム解析についてです。
当日、ちょっとしたサプライズも用意していますので、時間と興味のある方は是非参加したらいかがでしょう?
無料ですが、参加にはBioJapanの公式ホームページから登録する必要があるそうです。

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