2017年1月27日金曜日

PAG報告 パート6 DovetailやNRGeneなど(その2)

前回、NRGeneの話ができなかったので、本日はそれ。
この会社は、イスラエルにあります。
ラボは無く、解析だけを行うドライのスペシャリストの会社です。

彼らのサービスはゲノムアセンブリ。その名も、DeNovoMAGIC
お客さんはアメリカにあるNRGene提携先サービスプロバイダーに、サンプル(組織とか)を送ります。
アメリカでシークエンスをして、データが出たらイスラエルのNRGene社がこれを解析します。

前回紹介したDovetail 社はシカゴライブラリとかHi-Cとか、すごく長い距離をカバーするライブラリ(シカゴの場合は100kb, 200kb それ以上、Hi-Cの場合はMb単位)を作るのに対し、NRGene は他社のライブラリー技術をうまく組み合わせます。
例えば、数種類のペアエンド、数種類(3,000~9,000bp)のメイトペア、そして10X Genomicsの Linked-read,これらをそれぞれゲノムサイズの数十カバレッジかそれ以上読みます。
そしてNRGene独自の解析技術でアセンブルを行ないます。

これは私の主観ですが、DovetailのChicagoやHi-Cは、スキャフォルドをできるだけ長く作るのに優れていて、NRGeneは長さよりもハプロタイプごとのフェージングにより力を入れている気がしました。
あくまで私がPAGでそれぞれの結果の発表を聞いた限りの印象です。

どちらの会社も、「自分たちのほうが精度が高い。アセンブリ結果は良い」と言うので、メーカーの話を鵜呑みにはせずに、ユーザの声を聞いたほうが良いですよね。

但し、Dovetailの技術が論文でも公開されているのに対し、NRGeneのアセンブリ技術はブラックボックスです。
ここを気にするお客さんはいるかもしれません。

PAGではどちらの会社のひとたちとも会って話したり食事もしましたが、どちらも感じ良い雰囲気でした。皆さん楽しんで仕事しているんでしょうね。
社員さんはカリフォルニア(Dovetail)とイスラエル(NRGene)の国民性がはっきり出ていましたよ。

そんなNRGeneですが、日本では代理店がまもなく決まります。
ですのでその会社のビジネスの邪魔にならないよう、これ以上はブログでは控えます。


でも私は断然、Dovetail 押し!
価格もDovetail の方が安いですよ。
Dovetailの方が、アセンブリの経験も多いし、これまで行なった生物種の数も多いし、実験から解析の方法が論文で公開されているし。そういったところが評価されると思います。
PacBioとも相性いいですからね。

2017年1月25日水曜日

PAG報告 パート5 DovetailやNRGeneなど

PAGでのゲノムアセンブリの発表、PacBio、ONT、Illuminaペアエンド/メイトペアなどのシークエンス技術は当たり前として、そのほかにも最近良く話題になっているのは新しいスキャフォルディング。前回はBioNanoを紹介したので今回はこの3つ
  • Dovetail Genomics社のChicagoメソッドとHiC
  • Phase Genomics社のHiC
  • NRGene社のDeNovoMAGIC
Dovetailについては、以前ここでも紹介しましたね。
日本版ウェブサイトはこちらです。FAQあります。

Dovetailは、Chicagoという、In vitroで超長鎖ライブラリを作るテクノロジーが特徴です。
これにより、100kbp、200kbpといったゲノム配列の両端を読んで、Contig配列の向きと並びをそろえ、スキャフォルドします。
In vivoで超長鎖ライブラリを作るテクノロジーには、HiCというものがあり、これは細胞の中で染色体そのものをライブラリ作製の材料に使うので、Mbp単位の配列の両端を読んでContigをスキャフォルドすることができます。
つまり、ChicagoとHiCはスキャフォルドできる長さと精度が違う。
Chicagoの方がHiCに比べて、スキャフォルド長は短いが精度が高い。

きちんとしたガイドラインがあるわけではないですが、

  • ContigのN50が数十kbであればChicagoでスキャフォルド
  • ContigあるいはScaffoldのN50が数Mbpあれば、HiCでスキャフォルドすれば良い

のではないでしょうか?

Dovetail Chicago の例としてコペンハーゲン大学のダイオオイカゲノムの話がありました。
Cephalopod(頭足類)の動物は意外と種類が多くて、800種ぐらいあるそうですね。
マッコウクジラと戦った形跡(鯨に吸盤がついたままの化石)は残っているそうで。
さて、そんなゲノムを以下のシーケンサーで読んだ

  • イルミナ x72
  • 454 x0.1
  • Moleculo x1.4
  • Dovetail Chicago x40
  • PacBio x10

アセンブリの結果はこちら
イルミナ -> 100万本のContig、N50=4kb、最大119kb
+454 -> 210,624本Contig、まだまだ短いN50
+Chicago -> 7,376本のScaffold、N50=4.9Mb、最大33.9Mb
+PacBio -> 7,276本のScaffold、N50=5.5Mb、最大38.3Mb

PacBioを加えてもあまり長くならなかったのは、PacBioのデータはここでは最後に使われたからです。
つまり、Chicagoである程度つながったScaffoldのギャップフィリングに10掛けのPacBioデータが使われたから。

これはXenopusの発表でもあったのですが、Dovetailで作ったScaffoldをPacBioの10掛けデータでギャップフィリング。こういう使い方もあるんだー、って少し目からうろこ。
だって順序が逆ですから。
今まで私が普通に思っていたのは、PacBioでまずx50以上読んで、アセンブルして、長いContigを作った後にDovetailでスキャフォルド、という流れでした。
でもコストの問題で、なかなか大型ゲノムをPacBioだけでアセンブルできない、という場合もありますよね。

さて、これ以上長い、染色体レベルのScaffoldを作るには、HiCが向いています。
HiCの技術は、DovetailでもPhase Genomicsでも受託メニューにあります。

USDAのBen Rosenさんのヤギゲノムアセンブリの発表では、カバレッジは忘れましたが、
PacBioだけ -> 3,074本のContig、N50=3.8Mb
+HiC -> 31本のScaffold、N50=87Mb

また、森林ゲノムセッションの、Manuka (マヌカ、またはギョユウバイ?という植物)ゲノムアセンブリの発表でも、ショートリードとHiCが使われていました。Dr. David Chagneらは、この300Mbの二倍体植物をまずはショートリードで読み、
1,278本のScaffold、N50=3.8kb、全体サイズ471Mb(これには植物ライクな配列も含むらしい)
これにPhaseのHiCを加えると、
11本のPseudo-chromosome、N50=26.3Mb、全体サイズは295Mb
連鎖地図と比べても82%のConcordanceを持っていたらしい。
ちなみにこのマヌカという植物からとれた蜂蜜は高級品らしいです!
プレゼントにどうでしょう?

NRGeneの説明スペースが無くなってしまいました。これは次に。

DovetailのChicago、HiCについては、2月7日の「PacBioセミナー@秋葉原」で少しご紹介しますね。
では。

2017年1月24日火曜日

PAG報告 パート4 BioNanoでスキャフォルド

ゲノムアセンブリには、PacBioのシークエンスは今や欠かせない、必須の手段と言えるでしょう。
PacBioのシークエンス無しにデノボアセンブリの発表をすると、オーディエンスから「何でPacBioを使わなかったの?」と聞かれる始末。
これはPAGのあるセッションで私が実際に目にした事実です! 
5年前は、精度がどうの言われていたので、それからすると感慨深いなあ。

とは言ってもコストの問題やゲノムサイズの大きさで言うと、PacBioだけのシークエンス&アセンブリで完結できる生物種は、少なくともPAGに登場する生物の中では少ないようです。
そんなときに使われるのが、最近良く話題になっている新しいスキャフォルドの方法。
今回のPAGで登場したのは

  • BioNano Genomics社のIrys
  • Dovetail Genomics社のChicagoメソッドとHiC
  • Phase Genomics社のHiC
  • NRGene社のDeNovoMAGIC

このうちDovetailとNRGeneのセミナーには参加してきました。

上記の前提として、PacBioやショートリードで読んだ配列のContigが既にあります。
そしてこれらのContigの、向きと並びをそろえて真ん中をNで埋める、いわゆるScaffoldを作るのにこれらの技術が使われているのです。

BioNanoのテクノロジーは前も紹介しましたね。
Physical Mappingという技術でゲノム上の特定塩基だけを認識してラベリングし、DNAがナノチェンバーを通過する際に蛍光を検出、特定塩基のあった場所のゲノム上の位置情報を出力します。
100Mb以上の長いきれいな(Nickの無い)ゲノムDNAを用意するのがミソで、これが出来ないと蛍光が間違った場所についてしまい、データがダメになってしまいます。
でもうまくきれいなDNAを取れれば、ゲノムアセンブリの結果がとても向上するみたいです。

Complex Genomeのセッションで、Maize GenomeのB73リファレンスゲノムを作った話の中、PacBioとIrysが使われていました。

  • PacBioはP6-C4でx65
  • Irysはx60のマップ情報(100kbあたり11マップ)

PacBioデータをFalconでアセンブリしたあと、IrysマップでスキャフォルドしてPseudoChromosomeを作った発表でした。
ちなみにPacBioだけからのContigは、平均して5つのBACクローンの配列をカバーしていたそうです。
PacBioで配列レベルを明らかにし、IrysでContigの向きと順番をそろえたということ。
20本の染色体のうち14本で、180箇所のテロメアリピート領域を配列レベルでしっかり読めたという話でした。これはPacBioがすごかった話。

もうひとつはSolanaceae、ナス科のナス属のアセンブリの話で登場していました。
ショートリードのアセンブリではN50がどうやっても650kbしかいかなかったそうですが、Irysデータを加えたらMbレベルになったそうです。
遺伝子数は、いろんな報告があるそうですが、35,000くらいだそうです。ヒトより多い。
それはそうと、ナス科の植物はやたら種類が多いそうですね。
ジャガイモ、ピーマン、トマト、トウガラシ、タバコ、ホオズキ、そしてナス。

さて次は、Dovetail、HiC、Phase、NRGeneについてです。お楽しみに。

2017年1月23日月曜日

PAG報告パート3 なぜ鳥を読むか?

PAG報告パート3は、PacBioのカスタマーイベント(懇親会・情報交換会)で知り合ったひとたちと話して目から鱗だった話題を書きます。



昨年、B10KプロジェクトにPacBioシークエンサー採用されたこと、について書きました。
このときは、「へー、鳥を読むプロジェクトかあー」って漠然としか感じていなかったんですね。
そもそもなぜ、鳥を読もうと思ったのか?

カスタマーイベントで偶然近くのテーブルにいたひとに話しかけたら、このひとは Avian phylogenomicsの研究者。
お酒が入っていると気軽に仲良くなれるので、「なんで鳥を読もうと思ったの?」と聞いてみた。

インコやオウム、九官鳥が人間の言葉を覚えて喋るのは知っていますよね?
でも喉の喋る器官はヒトとは似ていないそうです。
一方チンパンジーは、喉の器官がヒトとほぼ同じにできている。しかし吠えるだけで喋らない。
そこで彼らは、喋る機能の根源は、脳にあると考えている。
脳にある喋る機能・メカニズムが、ヒトとオウムは似ているのだろうと。

(彼らはPacBioはもちろん、Oxford Nanopore、BioNano、Dovetail Genomics、10XGenomics、NRGene、Phase Genomics、Arima Genomics、といろんな技術を試してどれとどれの組み合わせが一番アセンブリ結果が良かったか、をPacBioのセミナーで発表していました。この様子は後ほど)

で、歌うことに対応する重要な遺伝子を4つまでに絞り込んで、遺伝子全体の構造を明らかにした。
プロモーター領域にあるマイクロサテライトや、GCリッチな配列も、PacBioのSMRTシークエンスでちゃんと読めたとのこと。


ところでこの夜イベントで知り合った研究者の中には、理研の某有名先生と知り合いだという方がいて、私ももちろん何度か話したことあるかただったので、その話で盛り上がったんですが、そのかた既に結構酔ってらっしゃって・・・。
ろれつ回らない英語というのは逆にわかりやすいな、と思ったのも新しい発見でした

2017年1月22日日曜日

PAG報告 パート2 NovogeneがSequel10台購入!

PAG学会の2日目、日曜に大きなニュースが飛び込んできました。
中国のシークエンスサービスプロバイダー・Novogene社が、Sequelをなんと10台購入するらしいと!
この日の朝、私がホテルを出る前に、ロビーの奥でPacBioの重役とNovogeneの偉いひとっぽい方たちが一緒に朝食を取っていたのですが、最終的な詰めをしていたんでしょうか。
この話は、翌日正式に一般に発表され、世間を驚かすことになりました。

写真はイメージです
Novogene社は世界各地に研究所を持っていて、10台のSequelは一箇所に集まるのではなく、複数の研究所に分散してインストールされる予定です。でも、ひとつの機関が10台も所有するなんて、本当にチャイニーズマネー恐るべしです!

これほどの資金を持っているNovogeneなら、イルミナの最新シークエンサーNovaSeq6000も、結構な数で購入するかも。
ちなみにNovaSeq6000は、装置自体は結構大きくて、横幅はSequelと同じか若干大きかった。
高さはSequelより低いかな。でももはや床置きタイプになってしまった。
スループットは最大4フローセルで6T塩基(2x 150 bp)。フローセルあたりのリード数は最大100億本! HiSeq Xの3倍ですよ。
ここから先は、イルミナ社の方に聞いてくださいね。

Sequelの話に戻ると、この装置を使った発表も増えてきました。
これからの発表には少しずつ、RSIIからSequelを使ったゲノムシークエンス、Iso-Seqなどの結果が増えてくる気がしました。

PacBioからのポスターはこちら

2017年1月21日土曜日

PAG報告パート1(これはほぼ日記です)

初めて参加した Plant Animal Genomics XXV は、とっても刺激になりました。
いろんな生物のゲノムが研究されているんだなあと改めて実感。
本当はその日にあったことを、現場からは以上です!的に書きたかったのですが、夜は疲れてダメでした。

今日は学会レポート第一弾として、僕みたいに研究者じゃない企業のひとが国際学会に来て何をしているのか、をお伝えしようと思います。
個人日記みたいな感じですので、読み飛ばしてくれても結構です。
学会の話はパート2以降をお楽しみに

私は、行きは成田からロサンゼルスへ。
LAX到着後はUnion Stationへ移動し、陸路Amtrak(列車)でサンディエゴへ、という行きかたです。
ANAはサンディエゴ直行が無いので乗り継ぎしないと行けないのですが、列車のほうが安いし、海側の車窓がとてもきれいなんです。
途中駅のOceansideには昔、友達が住んでいたのでこの辺は良く知っています。

さて、PAG学会の場所はサンディエゴ・ミッションバレーという町にある、ダウンタウンから少し離れたところのリゾートホテル。
空港から車で20分くらい、U-ber使って12ドルでした。


【到着した日・土曜日】
会場から歩いて10分くらいのコートヤードマリオットにチェックイン。このホテルは偶然にも、PacBioの御用達だったのです。
朝も夜もロビーで誰かに必ず会うから、まあ、あれですね、孤独を感じなくて良かったかも。チェックインしてからシャワーを浴びて、メールを書いたりしながら夕方を迎えました。
ちょうど同じ日にサンディエゴ入りするB社のMさんからも「今チェックインしたよ!」と知らせが来たので彼のホテルまで行って、バーで合流。
一緒にバーでビール飲んでいたロックフェラー大学のBenさんと知り合いになり、聞いたら彼もPacBioで蚊のゲノムを読んでいると知って意気投合!
やがてPacBioのPさんからメールが来て、「これからディナーに行くけど来る?まだ店決まってないけど」と誘われます。

その後はみんなでモロッコ料理のレストランにてディナー。
6人くらいでわいわい騒いで10時を回った頃に解散。Uber呼んでホテルに向かう。
じゃあ、また明日!、ってなるかと思ったらロビーで別のPac社員3人につかまり、「Rさんの部屋でおいしい赤ワイン飲むから来るよね?」と誘われる。
もちろんOKして、飲んで半分仕事の話をして、そろそろ疲れて解散になったのが12時。
初日終了! 

【翌日】
日曜日。でも学会は昨日からやってます。
午前中はRNAシークエンス、メイズゲノムなどのセッションを聞く。日本人参加者たちを見つけて一緒にランチ。
午後は展示企業の知り合いと話したり、lncDNAセッション、Sequencing Complex Genomesセッションを回って、夕方6時からビジネスパートナーであるDovetail社のチームとミーティング。
7時、某N社とビジネスディナー。知り合い新たに3人増える。
学会のオープニングセレモニーには出られなかったのが残念。
ホテルに帰ったのは10時。元イルミナのアメリカ人から飲みに誘われていたが場所が遠かったのと時間が遅かったので断念。
部屋で仕事して12時に寝る。今振り返れば一番健康的な日だった。

【3日目】
月曜日、朝10時から日本人お客さんと某出展企業とを引き合わせてのミーティング。
その後ポスターセッションなのでいろいろ見て回る。
午後はPacBioワークショップ。土曜日に知り合った蚊ゲノムのBenさんも発表者のひとりでした。ちなにみPacのワークショップは録画が公開される予定です。
その後またポスター会場で何人かと話す。対象生物種がいろいろあって、知らないことばかり。面白いなあ。
6時から、NRGeneのDeNovoMAGICセミナーに参加。こちらについてもまた別途書きますね。
8時、Dovetail社のみんなとお洒落なイタリアンレストランでディナー。一緒に招待されていたお客さん(オランダのタマネギ研究者Michealさん、Olgaさん、オクラホマのRichardさん)たちと同じテーブルになり仲良くなる。
みんな「Dovetailすごいぜ。スキャフォルドがほんとに伸びる」、って言っていました。うん、良い予感。
11時を回ってお開きになって、ホテルまで送ってもらって、寝たのが1時。

【4日目】
火曜日、そろそろ疲れが出てくるか? 
朝9時に会場近くのカフェで某O社とミーティング。シークエンス業界のちょっとした話。
その後10時からのバイオインフォマティクスセッションに参加。
Nanopore、PacBio、HiC、Chicago、BioNano、これらのどの組み合わせがいいか、というトピックスが個人的には一番楽しめた。
お昼はまた日本人探して晴天の下一緒に食べた。ちなみにこの学会はお弁当付き。PAG Asiaもそうだったな。AACR(アメリカ癌学会)は自腹だった気がする。
午後はDovetailのセミナーに参加してから、夕方は時間になったらお客さんと出展企業とのミーティング。

夜は、PacBio主催のカスタマーアプリシエーションイベント。
こちら招待制なんですがキャンセルがあったので急遽、午前中出会った日本人何人かに声かけてOKだったひとを連れて行くことに。
結果として、みなさん楽しそうだったし喜んでもらえたし、会場の女性率を上げるのにも若干貢献したし。
めっちゃ酔ってたひとが約1名(笑)。ほんと楽しかったんでしょうね。
終わって日本人の参加者を送ってから、私がホテルに着いたのは12時。
運悪くロビーで宴会していたPacBioの酔っ払いにつかまる。
本社の上級副社長KさんとアジアのトップRさんが「Hey, Ken ! Join us」って言うもんだからとりあえず一杯だけ付き合う。
ワイン飲んでピザ食べて、この宴会を抜けてから自分の部屋に帰って寝たのが2時。

【5日目】
水曜日、学会最終日はセッションには参加せず会社訪問。
朝は8時にフロントで同僚と待ち合わせて、ラホヤまでGo!車で20分のところが事故があって40分かかった。
ミーティングは何とか無事終了。同僚君にほぼ任せる。僕は若干二日酔い。

一旦ホテルに戻り、12時から、PacBioのInformatics Developers' Conferenceに参加。
日本人のお客さんも何人か参加してくれました。
アセンブリとIsoSeqにフォーカスしたトピックスで、面白かったと思います。
(ちなみに3月最初の週の後半に、東京でもPac解析セミナーをする予定です。現場の会のメーリスを都度チェック!)
4時半にこのイベントは終わり、ホテルに帰って少し仮眠(そろそろ疲れが溜まってきた)。
夜はPAGXXVのバンケットディナー(懇親会、ってやつ?)があるとのこと。
ホテルでメールとか仕事してたら時間を過ぎたから、僕は少し遅れて参加。
日本人も何人かいたし、この学会で知り合った研究者や企業のひともいたから、一緒にご飯食べて、話して、ビール飲んで。
会場センターにダンスフロアができていたから、みんなでダンスして。
国際学会のこういうのって、音楽は誰でも知っているスタンダードなやつが多いですね。
普通のナイトクラブより年齢層高めだからかな。
ま、そんなこんなで、ここでも日本人のひとと新たに知り合いになって、ついに名刺が無くなりました。
11時にホテルに帰。
しかしそれからまたいろいろあって外出、戻ってきたのが結局1時。
明日は5時にチェックアウトしないと飛行機間に合わないから、今日は熟睡したらアウト。
シャワー浴びて荷物パックして、1時間だけ仮眠しました。

そしてちゃんと飛行機に乗って帰国するわけですが、こういう海外出張は「時差ぼけ」を感じていてはできないだろうなあ。でもそろそろ限界感じる今日この頃。

さて次回パート2からは学会の報告します

2017年1月13日金曜日

Sequel 新試薬登場でスループット向上!


もうアナウンスされましたが、PacBioのJPMネタは、「Sequelの試薬・ケミストリー・ソフトウェアのバージョンアップによってスループットがすごくUP!」です。

カタログもそれにあわせて改訂されました。ここからダウンロードできます。
6ページ目に注目!
これが今のSequelのスループットだ!!

これはあくまでゲノムアセンブリ用の長ーいライブラリ(例えば60kbとか)を読んだ場合です。サイズセレクションは30kbでしています(つまりライブラリは30kb以上の長さ)。
これを2.0ケミストリーで10時間(!)読んでいます。
セルあたりの出力リード数は365,000本で、うち半分のリードの長さは20kb以上。
この図では出力塩基数が 7.5 Gbです。バラツキはありますが5Gb ~8Gbというところでしょうか。

試薬のバージョンが2.0とか、ソフトウェアのバージョンが4.0とか、実際使っているユーザ以外にはどうでもいい数字だと思いますが、重要な点は、
  • 少ない量のライブラリからシークエンスできるようになった
  • 長ーいライブラリもローディングできるようになった
  • ラン時間が最大10時間までできるようになった
  • ベールコールアルゴリズムが改善された (精度がUp)
  • 短いライブラリでのシークエンス結果が改善された

という感じです。

ゲノムアセンブリにはできるだけ長ーいライブラリを作ることが重要です。
一方、構造解析などでは30kbとか40kbとかの長いものを作る必要はなく(もちろん目的によりますが)、10kb程度のライブラリでも十分解析できるのでは?というのが今のところのPacBio社内で一致した意見です。
ヒトゲノムのほとんどの構造変異は、Segmental Duplicationなどを除けば、だいたいは10kb程度に収まるのでは無いか?
もちろんお金とサンプルが潤沢にあれば、長いライブラリを作って読んだほうが、より多くのゲノム構造解析を検出できるでしょう。
でも現実的には、コストと検出感度・精度はトレードオフの関係にあります。
検体数にもよりますしね。
リードが長くなったおかげで、検出できる構造変異の数で見ると、新試薬の方が従来試薬の半分のコストで解析できるそうです。
コスト表を改訂しなきゃ。

2017年1月12日木曜日

予想外れてショートリードからハイスループットマシン登場

2個前のブログでJPMのことを書いたけれど、HiSeqのような超スループットマシンは出てこないだろうという予想が大きく外れ、我ながら見る目が無いなあと凹んでます。

ええ、これのことを言ってます。NovoSeq
これから誰が買うのかな?なんて余計な心配でしょうね。
フローセルも、ケミストリーも、ファイルフォーマットも今までとは違うらしい。
リード長が150bpとか100bpというのは変わらないですが。
しかし、データ量が半端無くでかい。クラウドで解析するにしても、転送が大変でしょう。

100ドルゲノム、というキャッチフレーズだそうです。
でも100ドル/検体を実現するためには年間数億円の試薬購入が必要とか、そういうことは良くある話。
GAIIのデータ量に圧倒されていたのが遠い昔に感じます。
もう歳をとったのかな。

今日のところはこれにて
凹んでますので

2017年1月10日火曜日

PAG XXV の見どころは? PacBioとDovetail

2017年、1月14日からサンディエゴにて、PAG-Plant Animal Genomics学会が始まります。
私も今回、初参加します。

今までなぜ参加していなかったかというと、開催時期が毎年1月10日頃からだったからです。個人的な理由でどうしても1月13日は出張できないんです。
で、今年は14日からということで、OK!

さて、
PacBioからは当然ですがセミナーやセッションなどプログラムがたくさんあります。
それらのリストはこちらからダウンロードできるので、参加されるかたもされないかたも是非どうぞ。全てのポスター・セッションがリストされているので、役に立ちますよ。
PAGでどのような話があったか、現場からリポートしますね。
植物や動物のゲノムサイエンスは、昨年、育種学会や農学中手の会などで勉強しましたので、何とかついていけるかなーって感じです。

昨年10月からうちで代理店始めた、Dovetail Genomics ももちろんセミナーがあります
でもすいません、こちらはチラシ無いです。

Dovetailについては、日本版ウェブサイトが完成しました!
特にFAQがんばって作りましたので時間ある方は是非のぞいて下さい。

もちろん、2月7日の「PacBioセミナー@秋葉原」でも、Dovetailのサービス紹介も(私が)します。

PAGに参加する方へ、
もしPacBio、Dovetailの人たちと個別にミーティングしたい方はお気軽にお知らせ下さい。
セッティングいたします。(ken_osakiATMdigital-biology.co.jp ATMを@に)


2017年1月8日日曜日

2017年のバイオ業界はこうなる!と予測したいひとへ

2017年、今年も宜しくお願いします。
皆さんはバイオ系の大きな国際学会と言えば、何を想像するでしょうか?
AGBT? BIO? AACR? ASHG? HUGO? それとも来週末からの PAG

AGBTとBIOはどちらかというとテクノロジー中心
AACRはがん学会、ASHGは遺伝学会なのでアカデミック中心
HUGOはヒトゲノムコンソーシアム的な? PAGは植物動物のメイン学会なのでこれもアカデミック中心かな?

これまで企業のひとのみならず研究者のひとたちも「次にどんな技術が出るか?どんな製品・サービスが出るか?」をいち早く知るためには、このような学会での企業の発表に注目するのが普通でした。
AGBTやBIOはそんな企業の展示会、製品発表会的な役割もあったようです。
今はそれに加え、よりインパクトのある発表の場として、J.P. Morgan Healthcare Conference というのがあります。


J.P.Morganと言えば、世界最大の総合金融会社のひとつ。
歴史をさかのぼれば、関東大震災後の債権を日本政府からたくさん買って、震災復興に貢献したとか。

それは置いといて、このカンファレンスは完全に投資家向けのものです。
来週1月9日から13日まで、サンフランシスコで行なわれるそうです。
最近はバイオ業界にも投資家マネーが大量に入っているので、こういう場で企業の方向性を示したり、新しい製品を発表したり、企業買収などのタイミングを合わせたり、しています。

今年のJPMでどんな発表があるか?
この業界のひとは注目しているでしょうね。
いろいろ予想があるみたいですが、私も HiSeqX みたいな超ハイスループットのNGS装置はもうしばらく出てこないと思います。
ショートリードのテクノロジーはもう飽和な気がして。
受託で頼んだほうが自分で装置を買うよりも安い、というのは、装置はあまり売れないということなので。

投資家受けの良い話、というのは必ずしもサイエンスの常識に合っていないこともあるでしょう。
そうなるとやっぱり、クリニカルシークエンス、精密医療、サンプルからデータ解釈まで、AI、というようなわかりやすいテーマでかつ新しい技術が発表されるんじゃないかな、と思ったり。

企業のCEOがどんなビジョンを持っているか、会社はどのような方向性に向かうつもりなのか、を知るにはとても良い場だと思います。
上場企業ならそれらの情報は、このコンファレンスが終わったら発表されるはず。
気になるひとは是非チェックしてみましょう!

PacBioとRocheとの関係も、CEOから説明があります。
その話は、2月7日の「PacBioセミナー@秋葉原」でもされる予定です。
ではまた。