2016年4月21日木曜日

Fragile X Testingとメチレーションの関係

熊本地震の募金しました。
ボランティアとかに行けないひとは、募金が一番の貢献でしょうね。
大きな災害があるたびに、ひとびとの結束が強まる、そんなふうに感じます。
企業がよくやる、「お見舞い申し上げます」、なんていう言葉は空虚に聞こえる。
それより、「売上の何%を募金します」、って言うほうがずっといい。
個人レベルでも、やっぱり、募金が一番なのかな。


さて、話題は昨日のGenome Webです。

Fragile X Testing May Benefit From Direct Sequencing, Methylation Analysis

有料記事なので、内容をざっくり書きます。
UC Davisの Dr. Paul Hagerman のインタビュー記事です。
すみません、私は医師では無いので、以下の情報が間違っていたら教えてください。

Fragile X というのは前にもこのブログで何度か登場しました。

Fragile Xシンドロームという遺伝性の病気の発症は、X染色体のFMR1という遺伝子の5’UTRにある、CGGのリピートの数と関係があることがわかっています。
健常人は55未満のCGGリピート、病気のかたは200以上のCGGリピートがあるそうです。
55~200のCGGリピートを持つひとは、FXTASという神経変性疾患のリスクを持つそうです。

で、CGGが多いと、それだけメチレーションされやすく、FMR1のプロモーターが同時にメチレーションされることで、FMR1遺伝子がシャットダウンされて、発現されなくなる。
FMR1遺伝子が発現しているのが健常人、抑制されているのが患者さん、だそうです。
逆と間違えやすいので注意です!

現在、Fragile X シンドロームの診断は、PCRでCGGリピートの長さをみて、制限酵素でメチレーションを見ているそうですが、問題は、このFMR1のローカスは非常にPolymorphicだということ。多型性とメチレーションパターンのバリエーションが多い。
1人の患者さんでも、30から40のアレルがあって、リピートの数もばらばらだそうです。

そこでPacBioのロングリードの登場!
CGGのリピートを読めて、同時にメチレーションも解析できる。

でも、PCRで増やすことは現実的ではない。
そもそもCGGの連続をPCR増幅できるか、ということと、PCR増幅したらメチレーション解析できないからです。

そこで、制限酵素を使った、ゲノムの特定の箇所をエンリッチメントする技術を開発しました。
私はまだ読んでいませんが論文はこちらです。

クリニカルの現場で使えるようになるのはまだ先かもしれませんが、Fragile X のケーススタディは、PacBioの一分子リアルタイムシークエンスならではの使い方ですね。

Dr. Hagerman はASHGでも毎回プレゼンしていました。
研究結果がどんどん進化しているのが毎年楽しみです。

さて、メディカル系の話題として最後に、Webセミナーのお知らせ。
録画もされるので参加できないひとはあとでビデオリンクもこのブログでお知らせします。
参加はこちらから





2016年4月19日火曜日

Seabassゲノムついに論文に!

大型ゲノムのシークエンスと言っても、魚類はあまり聞きません。
単に私が知らないだけかもしれませんが。
フグは昔から有名ですね。でもそのほかの魚類、マグロとかサンマとか、マンボウとかジンベイザメとか。実はシークエンスされているのかな。

そんな中、Seabass「スズキ」のシークエンスが、アジア国際チームによってPacBioでずいぶん前から読まれていましたが、ついに論文になりました!


PLoS Genet. 2016 Apr 15;12(4):e1005954. doi: 10.1371/journal.pgen.1005954. eCollection 2016.
Chromosomal-Level Assembly of the Asian Seabass Genome Using Long Sequence Reads and Multi-layered Scaffolding

これ、結構前からプレゼンでは良く見かけていたました。
なんと、XL-C2とかの時代からシークエンスしていたのです!
懐かしいなあ。3年ひと昔

スズキのゲノムは約700Mb、DiploidのA Chromosome(2n=24)と、いろんな数(2-10)のB Chromosomeがあるとのこと。

Brain由来のゲノムはXL-C2、120分Movieで77セル
Kidney由来のゲノムはP5-C3、180分Movieで105セル
合わせてゲノムサイズの90x分のデータを取得して、アセンブリにかけたそうです。

同時にHiSeqでも読んでいて、こちらは500bpまたは700bpインサートのペアエンドで、80x分のデータを取得。

アセンブルは、HGAPを使ったもの(V1)、その後HiSeqデータを足してScaffoldしたもの(V2)、さらにOpGenのPhysical Mapping情報やリンケージマップ情報などを足して最終的に完成させた染色体レベルの配列(V3)を完成させています。
私がこれを2年くらい前にユーザミーティングで初めて聞いたとき、PacBioだけのアセンブリでN50 が1Mbを超えているのがすごい!と思ったのを覚えています。
今はそれがそんなに珍しくなくなってきましたけどね。

ですがこの論文を読むと、ゲノムアセンブリとその後のデータバリデーション、遺伝子アノテーション、がいかに大変かがひしひし伝わってきます。
とても詳しく手法について述べているので、参考になる点も多いと思います。

今だったら、P6C4で読んで、Falconでアセンブリするんでしょうねえ~、なんて思ったりもしましたが。

ところで6月8日~10にかけてシンガポールで行なわれるアジアPacBioユーザミーティングに、このSeabassプロジェクトの研究者からも発表がある予定です。
先日のゴリラゲノムの記事にも書きましたが、ユーザでなくてもPacBioに興味がある研究者なら、参加可能です!
その際は前もってお知らせください。私からPac本社にOK出しますので。


PacBioでシークエンスされている魚類、そういえば、ノルウェーのチームが、ニシンか何かを読んでいました。今思い出した!

2016年4月10日日曜日

ゴリラゲノムとユーザーミーティング

久しぶりです!
京都では先週、国際人類遺伝学会があったようですが、私はブース設営だけしました
ブースはこんな感じ
格好いいでしょう?
デザイン監修、私ですから!

で、その後学会には出ず、南に飛んだのですが、3日間、Dr. Jason Chinと一緒にいました。
Jason Chinといえば、HGAPやFalconを開発した、優秀なバイオインフォマティシャンです。
彼と話して、Falconのすごさを実感しましたよ。

Falconを使った最近のビッグニュースといえばこれ!
ゴリラゲノムのPacBioシークエンス

発表されたのが4月1日だったから、エイプリルフールのジョーク?
と誤解されたかもですが、本当の話。
実は私はこの日、「グレイタイプの宇宙人エリア51でシークエンスされた」っていうネタを書こうと思って準備してたんですが、やらなくて良かった・・・。
ゴリラネタまで嘘に思われたかも。

論文はフリーなのでどうぞ
Gordon et al.,
Long-read sequence assembly of the gorilla genome
Science  01 Apr 2016:
Vol. 352, Issue 6281,
DOI: 10.1126/science.aae0344

Gordon et al,, Science 2016
上の図、BとCは、Contigの長さをビジュアルで示したもので、ゴリラゲノム3Gbのうち10%をどれだけの長さのContigで構成できているか。
BがPacBioのアセンブリ、Cがショートリードのアセンブリ
もう一目瞭然ですね。

今回PacBioアセンブリを行なったのは1個体、Susieという女の子ゴリラ。
パーソナルゲノムです。

Gordon et al,, Science 2016
両者のアセンブル結果を比較しても断然PacBioアセンブリがすごい!
Contig N50にしても、最長Contigにしても、これまでのアセンブリ結果が何だったのか、というくらい、PacBioアセンブリのすごさがわかると思います。

使ったPacBioデータは、74.8x のデータ量。P6C4最新試薬、RSII
Falconを使ってアセンブリして、3.1-GbpゲノムのN50 はなんと9.6Mbp!!


さて、毎年この時期に来るシンガポールでのPacBioアジアユーザミーティングですが、今年は6月8日~です。
6月6日~8日までがPAG Asia学会。
その後がPacBioアジアユーザミーティング。
アジアだけでなく、アメリカからも招待講演があります。
今年は、このゴリラゲノム論文の著者の1人、Dr. Chris Hillが演者のひとりに予定されています。
おもしろい話が聞けますよ、きっと。

基本的には、PacBioのユーザを対象としたミーティングなのですが、共同研究していたり、データに触れていたりする方も参加は可能です。
PAG Asiaに出るひともぜひどうでしょうか?
私にメール頂ければ、詳細お伝えします