2014年5月29日木曜日

2nd PacBio Asia User Group Meeting in Singapore

皆さん、今年もシンガポールでアジアユーザーミーティングを行いました。
日本人スピーカーは2人。参加ユーザは4人。
全体では80名を超える参加者でした。
ちょうどその前に東京で行った、「PacBio現場の会」と同じくらい。

会場はWaterfrontホテルの会場。ANAの客室乗務員御用達の豪華ホテルです。
そこで2日間、アジアのユーザと、KeyGene、BaylerとMount Sainiからのスピーカーが参加しました。
ユーザミーティングなので、個別の発表はクローズドですからここでは伏せますが、全体的な印象は

  1. 昨年と比べて具体的な結果が多かった(昨年は「これから読むぞ」的な発表が多かった)
  2. 数百Mbの生物を読んでいる例など、詳細解析結果が待ち遠しい発表もあった
  3. アジアでは導入してまだ間もないところでも、がんがん読んでとりあえず結果を発表する
  4. マレーシア、中国はこれから伸びる予感がします
  5. 受託会社(韓国とオランダ)は一度に百セル超の依頼があるそうです!

ユーザーミーティングの様子 1

ユーザーミーティングの様子 2
このブログを見ている方なら、ご存知ですよね~ このスライド


PB-Jellyの兄弟ツール、PB Honeyについては、どうでしょう、Pacリードのクオリティを考慮しながら変異を検出するということらしいですが、発表を聞いただけでは十分理解できませんでした。 少し英語の集中力が薄れてきたところだったから、余計に。
ウェブサイトにはもうあるそうですから、調べてみます。

今年はこれからもどんどん、PacBioを使った結果の論文が出てくる気がします。
注目は、バクテリアメチローム、大型真核生物ゲノム、ヒトゲノム、HLA、そしてIso-Seq

益々エキサイティングな分野になるでしょう。
このユーザミーティングも大成功でした。
参加した皆さん、有意義だったと言っていました。

シンガポールは毎日、日中は30度近い気温で、少し早めの夏バテを経験。
そんな中、このユーザミーティングの翌日、Steve Turner氏のコンドミニアムにて、BBQパーティがありました。
夕方は風が涼しく、とても過ごしやすい。
BBQには、Steveの家族はもちろん、PacBio Asiaオフィスの社員とその家族、近所の家族や知り合いなど、たくさん集まり大賑わい。 こんな出会いも大事にしたいですね。

ついでに言うと、シンガポールのコンドミニアムでも、民間の住宅価格は、日本で想像するより遥かに高いです。 豪邸です。
BBQ広場と、大きなプールがついていました。
ちょっと、日本の感覚ではこんな住宅は作れないですよ。
でも、一度くらいは住んでみたい、そんな風に思わせる国、それがシンガポールです。



2014年5月21日水曜日

PAG Asia 2014

PAG (Plant and Animal Genome) Asia 2014 (http://intlpagasia.org/2014/) がここシンガポールで開催されています。
シンガポールは、わかっていたけど、暑い!!!
湿度が半端無いです。
会場はGRAND COPTHORNE WATERFRONT HOTELというところで、ちょっとわかりづらい3Fに、展示ブースとポスター会場、そしてセッション会場があります。

私はPacBioのT-shirtを着て展示員の手伝いをしていますが、正直、このMeetingは国際学会にしては小さいですね。
200人かそれくらいでしょうか。
ランチタイムに全員が出てきて、展示ブースの前に並んだビュッフェ形式の食事を取るのですが、その数を見ても200人もいないかなあ、という感じ。

ま、それだけ密度の高い学会といえばそうですが。

本日、PacBioのワークショップセミナーがありました。
まずは、Dr. Steve TurnerによるこれまでのPacBioの概略と今年も目玉論文の紹介

続いて、Temasek Life Sciences LaboratoryのDr. Shubha Vij,による、700Mb程度のデノボアセンブリ
これは700Mbですが、Medium sizeゲノムと呼んでいました。 Asian Seabass(ブラックバスみたいな魚)のゲノムアセンブリです。
イルミナHiSeqで80x、Sangerで1x読んでもつながらないところはいくら読んでもつながらない。
そこでPacBioの登場なわけです。 
最初は11セル読んで(当時のケミストリーで)平均Read長が2kbでボツ、その次は4kb出たので77セル読んでショートリードとHybrid Assembly、まあまあ使える。
ショートだけでアセンブリしたContigを、EC Toolを使用しPacBioリードをエラー補正したり、最後は20kbライブラリを作製しP5C3で100セルも読んで、平均8kbのリードでゲノムの60xのデータを出力!
これでHGAPアセンブルし、Contig数が5000、N50 が1Mb という結果を出したそうです。
すごい努力と根気、そして予算!
あっぱれでした。

そのあとは我らが友人、Mount SainiのDr. Robert Sebra
先週の金曜、東京でも話してくれた内容です。 ヒトのシークエンスの話でしたので、PAGにはちょっと客層が違うかなーと思っていましたが、心配ご無用。
Robertの話の内容については、別のドキュメントにまとめていますので、出来次第紹介します。
マーケティングの材料に使わせて頂きました。ありがとうBobby!

最後はBaylor College of Medicineの Dr. Kim Worley
さすが天下のBaylorだけあって、年間何と4,000セルをランしているとのこと!
対象生物はバクテリアから真核生物、昆虫、哺乳類、霊長類、とにかくいろんな生物を読んでいます。
彼らの開発したツールといえば、PB Jelly
PacBioのロングリードを使って、ScaffoldのNNNNを埋める、Gap Fillingツールです。
後に、Scaffoldそのものを行う、PB Jelly 2が作られたのは記憶に新しいところ。
ちなみに、PB Jelly2には、やはり最低10x程度のPacBioデータが必要らしいです。
推定ゲノムサイズ300Mbなら、10倍の3Gbのロングリードは必要ということです。
今なら、P5C3で10セルも読めばこれくらいはいきます。
また、できたScaffoldに対してもう一度同じデータを使って再度Scaffoldを作って(これをIterationと言う)いました。 これを2、3回は行っていました。

次回作は、Structural Variation Identification and Assembly QC を行う、PB Honey
ネーミングが良いですね。
PB Honeyについては、さらっと触れた程度ですが、木曜・金曜の、PacBio User Group Meetingで話してくれるそうです。 楽しみ!





2014年5月20日火曜日

皆様ありがとうございました!

今年上半期最大のイベント(私の中では最大のイベント)、「PacBio現場の会」が無事終了しました。
参加者は全体で80名を超えました。


企画したのが3月上旬。 2ヶ月間で良くここまで準備できたなあ、と。
でも何といっても、スピーカーの皆さんがとても協力的で、すぐに決まったというのが良かったです。
会場押さえが結構難儀でした。こういう100人くらいの会場は、結構前から予約で埋まってしまうものですね。
秋葉原UDX、実は3月下旬にキャンセルが出たので決まったんです。
それまでは日本橋のちょっと歩くところの会場でした。
ま、UDXは良い会場ですから、キャンセルが出たとの電話頂いたとき即決でした。


参加された皆様、実は皆様こそが今回の主役でした。
(写真、小さくてすみません。大体の雰囲気が伝わればと。
参加者には、大きいサイズのファイル差し上げます)

PacBioについて、またはトミーデジタルについて、どんな印象を持たれたでしょうか?
企業セミナーらしからぬ、クイズとか、記念写真とか、いかがでしたか?
「現場の会」という名前を付けたのも、皆さんに楽しんでもらい、かつ記憶に残ってもらう、そんな会にしたかったからです。

アンケートの結果、ほとんどの方が「たいへん満足」とお答え頂きました。

ショートリードの情報はもう溢れんばかりに氾濫してますが、PacBioの情報はまだまだ限られている。 何より論文がまだ少ないですし、使い方が特殊。
特殊というか、個性があるんですね。
超長く読める、そんなに多くのリードは出てこない、一本あたりの精度は悪いが集まるとどのシークエンサーよりも良い などなど。

今回お話頂いた演者の方々は、みなさんとても魅力的でエネルギッシュに満ちたお話でした。
きっとPacBioがとても好きなのです。
データを見るまではこの感動は得られないのでしょうが、実際に読んでそのロングリードを得た瞬間、「これでゲノム決まる!」という実感を得るのでしょう。
ゲノムが完全に決まるまではいかなくても、やってる研究がだいぶ進む!
ライバルに差を付けられる!
ってね。


というわけで、お金が無いから、装置買えないから、PacBioあきらめる、なんてもったいない!!
共同研究、受託会社に頼む、という手段があります。
そのときはやっぱり、日本国内で実験するところを選びましょう!
国内なら、私たちもサポートできるので。



それともうひとつ大事なことをお知らせします!

以前、P5C3という新酵素の話をしたとき、これはScaffold用であってアセンブルには向かない、と申しました。
当時はPacBio本社でもその考えでした。

が、

いろいろ経験を積んだ今は、「P5C3をデノボアセンブリに使っても意外といけるじゃん」 ということで、P5C3は事実上のデフォルトスタンダードになりました。
今回の現場の会でも沖縄綜研の中野さんが発表してました。

ちょうど同じ日に、PacBio本社から連絡があり、P5C3は、マイナーバリアント検出以外の全てのアプリケーションに応用可能、ということになりました。
条件として、2次解析ソフトSMRT Analysisが最新の2.2になっていることが必要です。
精度が若干、P4C2に対して落ちるのは確かですが、それでもバクテリアアセンブリの結果はP4C2と比べて全く遜色ありません。
カバレッジを45くらい稼げばQV50に達したので、精度は問題にならない、と本社は言っていました。
長さを生かせるので、大型ゲノムに対しても利点の方が大きいと思います。

そうなると、これからのPacBioシークエンスはほとんどがP5C3、平均8kb、9kbは当たり前、になってきますね。

2014年5月11日日曜日

金曜まであと6日



16日までいよいよあと1週間を切りました!
日程が近づいて来たので緊張してきました。

当日のプログラムをお知らせいたします。
時間は若干ずれるでしょうね。きっと。
でも、会場が6時までなので、ENDは合わせるようにします。

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プログラム
EEnglish speaker

9:15 受付開始
9:45 Introduction (トミーデジタルバイオロジー株式会社)

10:0010:30 
「納豆菌ゲノムのPacBioシークエンシングと高精度配列の再決定」 
(慶応義塾大学理工学部生命情報学科 鎌田真由美様)

10:3011:00 
PacBio RS IIシーケンサーを用いた受託解析のご案内」 
(タカラバイオ株式会社 CDMセンター 湯原悟志様)

11:0011:30 
PacBioによる乳酸菌コンプリートゲノムの構築 + 植物ゲノム解析への応用」 
(国立遺伝学研究所大量遺伝情報研究室、東京大学大学院新領域創成科学研究科 谷沢靖洋様)

11:3012:00 
PacBio RS IIにおける最新プロトコールの実際」 
(一般社団法人 沖縄綜合科学研究所 中野和真様)

12:00 - 13:00 ランチョンセミナー「次世代シーケンスにおけるサイズセレクションの重要性とPacBio RSIIライブラリー調製例」 
(日本ジェネティクス株式会社 鈴木智様)

13:0013:30 PacBioクイズ 
(トミーデジタルバイオロジー株式会社 北爪美和子)

13:3014:00  PacBio新規アプリケーション 「デノボだけじゃないPacBio
(トミーデジタルバイオロジー株式会社 大崎研)

14:0014:50 E
Harnessing Advances in Long Read Sequencing Technology Towards Improved Clinical Diagnostics」 
Icahn Institute for Genomics and Multiscale Biology at Mount Sinai Robert Sebra様)

14:5015:20 E
PacBio RS II を用いた真核生物ゲノムの de novo アセンブリアルゴリズム/Assembling eukaryotic genomes using PacBio RS II
 (東京大学大学院新領域創成科学研究科情報生命科学専攻 笠原雅弘様)

15:2015:45 休憩・時間調整

15:4516:15 
CLC Microbial Genome Finishing Module によるPacBio ハイブリッドアセンブリ」 
(株式会社CLCバイオジャパン 宮本真理様)

16:1516:45 E
From Reads to Reports: Accelerating Disease Diagnosis By Automating Genomic Analysis」 
Strand Life Sciences Dana L. Abramovitz様)

16:4517:15 
1分子リアルタイムシークエンシングの感染症研究への応用」 
(大阪大学微生物病研究所感染症メタゲノム研究分野 中村昇太様)

17:1517:30 Closing (Pacific BioSciences Ram Laxman


17:3017:45 解散

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昼過ぎの「PacBioクイズ」では、素敵な?商品を用意しています。
また、参加者同士ができるだけお知り合いになれるような企画も考えていますので、是非参加ください。

16日は金曜です。 
残念ながら懇親会は用意していません。 
皆さんどうぞご自由に、秋葉原・神田界隈で飲んでも良し、ガンダムカフェに行っても良し。
思い思いに金曜の東京の夜を楽しんでください。

まだ間に合います! 
「16日、予定空いた。PacBio興味あるなー、東京まで話聞きに行こうかなー」って思った方、是非どうぞ!!
来て損は無いと思いますよ。

参加登録は http://www.digital-biology.co.jp/allianced/workshop/
またはこちらから

会場は秋葉原UDX Next 1
秋葉原駅から徒歩5分くらい。でも不安な方のために写真撮って来ました。

秋葉原に着いたら、電気街口(北側)目指してGO

宝くじ売り場・・・は、移動式なので目印にはならないか。
でもこんなふうな景色が見えたら当たり!
まっすぐ進んでエスカレータを上ってください。

ビルに入ったらさらにエスカレータで4階まで進みましょう

UDXギャラリーという看板が目印です。 
会場はUDX ギャラリーネクスト1です。

さらに進むと、右側に会場が見えてくる。
この奥がNext 1です。




2014年5月1日木曜日

PacBio現場の会(2)

今日は大阪から東京へ向かう最終新幹線に乗りながら書いています。
東京着が23時45分だから家に着くのは0時40分…深夜、しかもまだ平日。
でもいいんです! 大阪で串揚げが食べられたから。
小だるまだったかな? 店の名前。良心的なお店でした。
アスパラベーコンがどれだかわからなくて、頼んだ連中が結局ありつけませんでしたが。



以下、NGS現場の会のメーリングリストにも書いた内容と90%同じです。

以前もお知らせしましたが、5月16日(金)、東京秋葉原にて
PacBioのワークショップセミナー「PacBio現場の会」を開催します。
演者の皆様のタイトルが集まり、内容もつめてきましたので再度ご連絡致します!

場所:秋葉原UDX Next1
日時:5月16日(金)、9時45分~(受付開始は9:15分)18時くらいに終了
参加費:無料
参加登録方法:http://www.digital-biology.co.jp/allianced/workshop/
このリンクの一番上、「PacBio現場の会」ワークショップセミナーからご登録ください。
まだ席に少し余裕がありますが、参加登録はお早めにお願いします。


演者の方々のお名前と、発表のタイトルです。
(50音順・当日の順番はこの通りではありません)
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【英語発表: English Presentation】

Robert Sebraさま (Icahn Institute for Genomics and Multiscale Biology at Mount Sinai)
Harnessing Advances in Long Read Sequencing Technology Towards Improved Clinical Diagnostics

Dana L. Abramovitzさま  (Strand Life Sciences)
From Reads to Reports: Accelerating Disease Diagnosis By Automating Genomic Analysis

笠原 雅弘さま (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
PacBio RS II を用いた真核生物ゲノムの de novo アセンブリアルゴリズム
(英題:Assembling eukaryotic genomes using PacBio RS II)


【日本語発表: Japanese Presentation】

鎌田 真由美さま(慶応義塾大学理工学部 生命情報学科)
納豆菌ゲノムのPacBioシークエンシングと高精度配列の再決定
(英題:Whole genome resequencing of Bacillus subtilis natto using PacBio sequencer)

谷沢 靖洋さま (国立遺伝学研究所 大量遺伝情報研究室)
PacBioによる乳酸菌コンプリートゲノムの構築 + 植物ゲノム解析への応用
(英題:Completion and verification of draft bacterial genome assembled by HGAP method)

中野 和真さま (沖縄綜合科学研究所)
PacBio RS IIにおける最新プロトコールの実際

中村 昇太さま (大阪大学・微生物病研究所)
1分子リアルタイムシークエンシングの感染症研究への応用
(英題:Application of SMRT sequencing to infectious diseases)

宮本 真理さま (株式会社CLCバイオジャパン)
CLC Microbial Genome Finishing Module によるPacBio ハイブリッドアセンブリ
(英題:PacBio hybrid assembly by CLC Microbial Genome Finishing Module)

湯原 悟志さま (タカラバイオ株式会社)
PacBio RS IIシーケンサーを用いた受託解析のご案内

【ランチョンセミナー】

鈴木 智さま (日本ジェネティクス株式会社)
次世代シーケンスにおけるサイズセレクションの重要性とPacBio RSIIライブラリー調製例

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まだ席に少し余裕があります。

PacBioのユーザ様や解析の達人、アメリカのPacBioヘビーユーザの
お話をじかに聞けるチャンスです!!
ソフトウェアやサンプル調整のお話、Pacの最新プロトコルの紹介もあります。
また、ちょっとした企画やクイズ(素敵な景品も)などを用意してお待ちしています!

参加登録方法:http://www.digital-biology.co.jp/allianced/workshop/
このリンクの一番上、「PacBio現場の会」ワークショップセミナーからご登録ください。

次回はいつ行うかわかりませんよ。←深い意味は無いです。
皆さん、お待ちしております!

研究者同士の情報交換、名刺交換、いろいろやってください。