私も全く知らなかった。
本当にサプライズ。
PacBio本社でも、知っているひとは限られていたそうです。
ついこの間まで、PacBioの誰もが「PacBioはあの大きな装置、RSIIを、これからも売っていく。小型シークエンサーは出ない」って明言していましたから。
私もそれを信じて、あちこちで「新型装置は出ない」って言ってきたので、結果として嘘を言っていたことになり、申し訳ないです。
とは言っても、MiSeqくらいの大きさ・・・というわけではないようですね。まだでかい。
横に立っている女性、背が高いです。
装置の大きさは幅x奥行きx高さが、36.5 in x 34 in x 66 in(168 cmくらい)
重さは381kg
今までのRSに比べると確かに小型です。軽乗用車サイズから冷蔵庫サイズに、なった感じ。
デザインは・・・ ちょっと・・・ まあ、いろいろあると思いますがあえて言いません。
プレスリリースはこちら
では今までのRS IIとどう変わったのか?
SMRT Cellが大きくなりました。大きさにして約4倍、ZMWの数は約100万
ここから出力されるリードの本数は、今までと比べておよそ6~7倍
リードの長さやMovie時間はRSIIと変わらない予定です。
1セルあたりの出力塩基数は~5Gb(うまくいけば10Gbも?)
最大16セルまで1ランで使用可能
SMRT Cellが大きくなったということで、今までは8セルが1本のStripにまとまっていましたが、Sequel Systemは4セルで1本です。
これを最大4本、装置にセットすることができます。(合計最大16セル)
Sequel Systemでできることは、
デノボアセンブリ、Iso-Seq、ロングアンプリコン、Methylation解析、というふうにRSIIと同じです。
サンプル調製も、一部はRSIIと同じキットを使い、一部は特別のものを使う、というふうに分かれています。
窒素ガスはRSII同様、必要です。
この機械の、前面の黒いところは、スライドして下に降りるようになっています。
すると、中からロボットと試薬セットを置く台が現れます。
ここでユーザが、SMRT Cellをセットしたり、キットやチップを置いたりします。
スライドを閉めてから、上段右のタッチパネルで操作します。
Real Timeでシークエンスが始まり、データはこの装置の下のほうにあるサーバで、ベースコールされます。
ベースコールされたデータは、ユーザのサーバに転送されるか、USB3.0でユーザが抽出します。
データ解析はRSIIと同様、SMRT Analysis 3.0 を使います。
あ、SMRT Analysisは次に3.0になります。ちなみに3.0はRSIIのデータも解析できますのでご安心を。
それも平均10kbの超ロングリードで!!
今年のASHG(アメリカ人類遺伝学会)の大きな目玉になることは間違いない!
そもそも、どうしてこんな製品が突然出てきたのでしょうか?
ご存知の方もいると思いますが、PacBioはRocheと共同で、Roche向けの診断用NGS装置を開発するという契約がありました。以前ここにも書きました。
この装置も、Roche次世代シークエンサーの開発の過程で作られたものだそうです。
極秘裏に開発されたのも仕方が無い。
こちらSequel Systemは、Research Onlyなので、Roche向け診断用NGSとは、別物です。
診断向けNGSについては、Rocheさんにお問い合わせ下さいね。
肝心のデータですが、実は、まだオープンにできるものはありません。
現在、本社でサンプル調製の最適化と共に、良いデータ出しをしているところだと思います。
乞うご期待!
価格は来週決まりますので、お問い合わせはトミーデジタルまでお気軽に!
しかし、当然ですが、気になるのは今後RSIIの運命はどうなるのか? ということですよね。
先ほどのプレスリリースによると、RSIIの試薬の開発・サポートは続くとのことです。
これは信じる。
それに、RSIIは販売してから歴史があるので、トラブルシュートの経験がある。
新しいSequel Systemよりは安定してデータを出してくれるでしょう。
しばらくは共存していくと思います。
来週アメリカに行くので、いろいろ突っ込んで聞いてきます。
あーあ、それにしても、あちこちで「新型機械は出ない!」って言ってきたなあ。 やばい。
サプライズとしては良いかも知れないけれど。
出るとわかっていたらもっと嬉しかったかも知れない。そう思う社員は、PacBio本社の中にも多いと思う。
まあ、この業界では良くある話ですけどねえ。
良いニュースとして、前向きに考えることにしました!
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