2017年4月27日木曜日

沖縄からのレビュー論文

日本にPacBio RSを初めてインストールした、本当に最初の最初のお客様の中に、沖縄綜合科学研究所、があります。
こちら、沖縄県うるま市の沖縄バイオ産業振興センター内にあり、もちろん何度も行ったことがあります。
これまでにもPacBio現場の会や、PacBioアジアユーザーミーティングでのご発表など、いろいろとご協力頂きました。

さて、3月31日にPublishされていて、ここでも紹介しようとしていてうっかり忘れていたレビュー論文があります。お客さんが書いた論文の紹介なのに「忘れていた」とはなんとも申しわけない。
でもファーストオーサーの中野さんは、優しいひとなので許してくれるでしょう。


沖縄綜研さんでは、これまでに本当にたくさんのサンプルを、RS/RSIIを読んできました。
PacBioの一分子シークエンサーが、ゲノム解析や構造解析、メチレーション解析、SNPフェージング解析にいかに優れているか、をよーくご存知です。
私が言うより、実際のお客さんが言うほうが、説得力ありますよね。
ちなみにロングリードの記録として、92.7kbのリード長を2016年11月に出しているそうです!(もうちょっとで100kbでしたね)

このHuman Cell レビュー論文の中では、さまざまな種が登場しますが、その中からほんの少し紹介します。論文は無料みたいです。
PacBioの、GCバイアスの無いロングリードだからこそ読めた例の数々です

Mycobacterium tuberculosis (結核菌)
4.4MbでGCが65.6%のGCリッチゲノム。ゲノム中にはGCが80%に達する2,000bp以上の配列部位が存在し、1,000bp以上のまったく同じ配列ペアが117か所あるとのこと

MDR Acinetobacter baumannii (多剤耐性菌アシネトバクター)
4Mbの染色体と189kbのプラズミドを持つ。どちらもGCが39%程度の低GCゲノム。
多剤耐性の遺伝子の位置を同定

Carbapenem-resistant Pseudomonas aeruginosa  (カルバペネム抗生物質耐性緑膿菌)
6.85Mb、GCが66%のゲノム
ゲノムには、10,000bp以上(最長27,239bp)の同じ配列ペアが6か所あり、これらはプロファージとのこと

Helicobacter pylori (ピロリ菌)
沖縄は、内地と比べて胃がんの割合がとても低い。これは胃がんの原因として近年言われているピロリ菌の種類が違うからではないか?という話。
ピロリ菌の毒性とcagA, vacA遺伝子のジェノタイプをプロファイリングし、さらにはメチレーションとの関係性も明らかにした例

ほかにも、沖縄由来のバクテリアや、インフルエンザウイルスのゲノムを解析した例、ヒトのCM-SJS(スティーブンス・ジョンソンシンドローム)/TEM(中毒性表皮壊死症)関連IKZF1遺伝子のターゲットアンプリコンシークエンスをして新規にSNPフェージングを発見した例など、これまでの成果は相当な数に上ります。



と、お客さんをよいしょしたところで、今日はこれくらいに。

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