2019年3月30日土曜日

PacBioのおもひで その1

本当はこのブログはもっと前に上げるつもりでした。
書き始めたのは2018年11月4日です。買収のニュースが出た5日後。
もう5ヶ月経ったんですね。もっと過ぎた感じがするけども。

私は人生の6年間、PacBioが常に関わっていたと言っても過言ではありません。あまり普通の人は経験しないようなことにも触れてきました。
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同じ内容です。

私の友人の一人、Jason Chinはこのサイトで今までのPacBioでの思い出を綴っています。一読の価値はありますので皆さんもお時間あるときにぜひどうぞ。

最初に書いた通り私も、PacBioとは人生の中で長く付き合い、多くの友人もでき、また自分のキャリアにも大きく影響したので、この買収のニュースはとてもショックでした。ショックというか、Jasonも言うように精神的に大きなインパクトを与える出来事でした。

私はもう外部の人間です。でもPacBioとの出会いとこれまでを忘れないうちに書いておこうと思います。

PacBioとの出会い

PacBioの前に、最初にNGSというものを知ったのは確か2009年頃だったと思います。まだ454やGA、SOLiDが登場したばかりです。日本では、NGSはまだ広く一般的に使われていたわけではなく、出力データの多さとシークエンスの短さから、NGSを使いこなすのは至難の技、なんて言う声も多数ありました。

当時は、ワールドフュージョンというデータ解析と海外ソフトウェアの販売をしている会社にいました。テキストマイニングのソフト(Pathway Studio / MedScanというソフト)を担当していたので、休み時間などにNGS関連の論文を集めていました。
そんな中、Single Molecule Real Timeシークエンスの論文を偶然見つけます。
小さな穴(ZMWのこと)にDNAを一本入れて、その中でDNAを合成しながら読んでいく、という当時は画期的な技術に驚き、同僚に話したことを覚えています。当時は長く読めるということより、DNA1分子を読めるということの方に興味があり、Helicosの話題も追っていました。
まさにちょうどその頃、「ショートリードの憂鬱」のブログを家で書いていました。

NGSはどれがメジャーになるのか。SolexaかSOLiDか454か、またはPacBioかHelicosか。それともIonかNanoporeか。
これまでのサンガーと比べてデータが圧倒的に多いけれども、リードが短い・あるいは長い。どうやって解析するのが正解? 
えらい先生も迷っていたと思います。若手の研究者が色々道具を作って試して、発表して、そんな日本NGS業界のエキサイティングな時期でした。

時は過ぎて2011年、東日本大震災の年です。会社から4時間かけて歩いて帰りました。
日本がどうなるかわからない非常事態に見舞われて、私も自分の人生を考えることが多くなりました。
そんな中偶然、Linked InでPacific Biosciencesが日本でFAS(Field Application Specialist)を探していることを見つけ、一生懸命英語でCV(履歴書的なやつ)を書いてアプライしたのです。今振り買って思えばウェブで探したテンプレートそのままに書いた、未熟な履歴書でした。

面接に現れたのは見るからに、ザ・アメリカン

8月の暑い日でした。面接は丸の内ホテルの喫茶店。待ち合わせ時間に現れたのはフットボール選手かと思うくらいの巨漢のアメリカ人。握手しただけで圧倒されました。
彼はFASのトップ。隣にはFSE(エンジニア)のトップ。少し遅れてアジアオフィスのトップが合流。英語面接スタート!

質問で印象的だったのは、「たくさんの候補者がいる中で、なぜ私たち(PacBio)は、あなたを採用する必要があるのか?」というもの。
つまり、私が会社に対してどのように貢献できるかを聞いているのです。ちょっと日本の会社面接では無い質問かもしれません。緊張して何を喋ったか覚えていません。

結局、日本でFASは採用せず

8月に面接したのですがなかなか返事が無く、諦めていたところ、何と、トミーデジタルバイオロジー社がPacBioの日本総代理店になるというニュースを耳にします。
え?
日本でFASを雇用するはずじゃ無かったの?
これを聞いてがっかりしていたところ、ある日、エージェントを通じて私に電話がかかってきて、
(センシティブなので中略・笑)
トミーデジタルに転職が決まったのです。

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