2016年6月21日火曜日

Dovetail - de novo Assembly 専門のテクノロジー(2)



カリフォルニア州サンタクルーズ市は、「サーフィン発祥の地」とも言われているそうです。僕はサーフィンしませんけど。
海岸線を通るHW1号線を北上すると、ザ・カリフォルニア、って感じの素晴らしい景色が見えてきます。

天気がいいとドライブに最高!
そのまま北上するとサンフランシスコに行くことができますよ。

ああ、そうそうDovetail社です。
看板は控えめな感じ
いかにもベンチャー
サンタクルーズの市内、大きな倉庫みたいな建物にこの会社はあります。
ベンチャーらしい雰囲気の、活気のある会社です。
彼らの提供するサービスは、ずばり、「デノボアセンブリのトータル受託」
ゲノム抽出からアセンブリまで

顧客はDNAではなく、組織を送ります。
100 kb以上の、高分子DNAを抽出する技術が必要だからです。
輸送中にDNAが壊れて短くなってしまうことを防ぐのも理由らしいです。

DNAを抽出後は、2つのワークフローに分かれます。
  1. HiSeqを使ったショットガンシークエンス→アセンブリ
  2. Chicagoライブラリ作成→シークエンス(HiSeq)

1のアセンブリ結果のContigを、2のシークエンスでScaffoldして、最終的にまとまったScaffold 配列を顧客に返却
という流れ。
Dovetail社のウェブサイトから

彼らのChicagoライブラリ原理をまとめました。
(詳しくは彼らのウェブサイトまたは論文
Putnam et al.,
Chromosome-scale shotgun assembly using an in vitro method for long-range linkage
Genome Res. 2016. 26: 342-350を参照)

Dovetail 社のウェブサイトから
  • まず最初に100 kb ~ 150 kb 以上の長いDNAフラグメントを抽出する(A)
  • ヒストンを追加し反応を与え、Naked DNAをクロマチン構造に再構成させる(普通クロマチン構造をとらないバクテリアゲノムでも、強制的にこの形にすることができる)(B)
  • 再構成させたクロマチンを、ヒストン同士、共有結合によってクロスリンクさせる。これにより、ゲノムDNAが凝集され、距離が縮まる。例えば、上図の1と2は、最初は50kb以上離れた位置に配列だったが、クロスリンクによって近くの位置に来ている(C)
  • クロスリンクされたクロマチンのDNAは、制限酵素によって切られ、sticky-endedのフラグメントができる。DNAはバラバラになったように見えるが、ヒストンのクロスリンクにより、もともとのフラグメント由来のDNAは、この時点でも凝集されていてる(D)
  • 新しく作られたsticky-endedの末端は酵素反応でblunt-endにされ、その際、ビオチンがついたヌクレオチドでしるしがつけられる(E)
  • DNA Ligase反応で、blunt-ended 末端同士が結合される。たいていの場合、これまでつながっていたフラグメントではなく、遠く離れたフラグメント同士が結合する(ここは確立論)ので、例えば、上記、1と2が結合することもあり得る(F)
  • 次に、クロマチン構造は解除され、DNAが抽出される。そしてフラグメントの真ん中に無いビオチンは取り除かれる。つまり、Fのステップでライゲーションされなかったフラグメントのビオチンは除去される(G)
  • 最後に、ストレプトアビジンビーズで、ビオチンが付加しているDNAだけ、精製される
このようにして、もとは数十~数百kbpも離れていたDNA同士が、くっついた形で抽出できるのが、Chicagoライブラリ。

で、あとはこれを連続で読むかペアエンドで読むかして、先のショットガンゲノムアセンブリで作ったContigをScaffoldするという流れです。

Scaffoldに使用するソフトウェアはHiRiseという、彼らが開発した独自のもので、今は公開はしていません。

Dovetail社は、デノボアセンブリの受託に特化していて、機械やキットを売るというビジネスはしていません。
非常にシンプル! 

気になるのは金額ですよね。そこそこはします
まだ、インターナショナル価格は設定されていません。
この間のPAG Asia @シンガポールで、Dovetail社のブースが出ていました。
現CEOのToddさんは、元イルミナ社員で、かつ元BioNano社員で、PacBioのひととも仲が良い。
せっかくなので、みんなで夕食に行き、そのまま夜12時過ぎまで飲みました(私もToddさんとは知り合いだったのです。世界は狭い!)

これから、アメリカ国外に進出をしていく予定らしいので、注意してフォローしていきたいと思います。
PacBioとも親和性があると思うんですよね。


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