これが何を指すのかというと、「現在のゲノム解析技術と知をフルに活用して、個人に合ったオーダーメイド医療、予防医学も含めて、実現しよう!」というものではないでしょうか?
私の理解はそんなところです。皆さんそれぞれ少しずつ違った解釈をされているかもしれませんね。
しかーし、ここで英語の問題を1問。
「PrecisionとAccuracyの意味の違いを述べよ(PreciseとAccurateの違いでも良い)」
さあ、わかりますか?
普通に辞書引くと、どちらも正確性あるいは精度とか書いてあるかもしれません。でも、厳密には違いますよ。
答え:
Precisionとは精度。何回も測定してどれも近い数値が出た場合、精度が高いといい、再現性が高い、とも言う。
Accuracyとは正確度。測定結果が真の値に近い場合、正確度が高いといい、確度が高いとも言う。
なので、いくらPrecisionが良くても(同じゲノムを何回解析してほぼ同じSNVが測定されても)Accurateで無い場合(真の変異では無い)もある
(ググれば例が出てきますが、私がわかりやすいと思ったのはここ)
イルミナ社の超並列高速シークエンサーによって出される膨大なデータは、ゲノム解析を革命的に進歩させ、ある種、Precision Medicineをリードさせたと思います。
でも、Preciseではあるかもしれないけれど、真の変異をコールできていないかもしれない、というところがネックでした。
スタンフォード大のDr. Deweyらが、JAMAに2014年に発表した論文、「Clinical Interpretation and Implications of Whole-Genome Sequencin, JAMA. 2014;311(10):1035-1045」によると、56の重要疾患遺伝子について、ショートリードで30X読んでも、10本未満のリードしかマップされなかった(読まれなかった)遺伝子は結構多かったらしいです(下図)。
JAMA. 2014;311(10):1035-1045 |
また、想像つくかもしれませんが、ショートリードだけに頼るゲノムリシークエンスでは、
- リードより長いリピート配列は検出できない(3塩基繰り返しリピートなどは検出不可)
- 多型性が高い配列(HLAなど)で数キロに及ぶハプロタイプを求めるのは困難
- 大きな(1000bp以上の)構造変異を検出するのは困難
です。
そこで、ロングリードで、低カバレッジで、正確に変異を検出することが大事になってくるわけですね。
先の論文の著者でもある、Dr. Euan Ashleyは、先日Nature Reviews Geneticsにレビューを発表しました。
リンク先はこちらです
パーソナルゲノム、クリニカルゲノムシークエンス、などの分野に携わるひと、これからやろうと思っているひとは、このレビューを読むことをお勧めします!
ちなみにAshley博士は、Personalis社の創始者でもあるのです。Precision Medicine のまさにオピニオンリーダーですね。
またこのレビューの内容の一部は、YouTubeでも公開されているので興味のあるかたはこちらもどうぞ
最後に、Ashley博士は、今年のASHGでも、PacBioのワークショップで講演します!
行くひとは是非チェック!!
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