今から約3年前、2013年9月の、「Roche社から7500万ドルの出資を受けてRoche社向けの新しいシークエンサー&アッセイシステムを開発する」というニュースは、驚きと共に色んな憶測を呼びました。
その2年後、2015年10月に、Roche社向けに開発していたはずのシークエンサーが、突然公に姿を現し、またまた大きな反響を呼びました。
もちろんこれまで大きな出資を受けて開発された経緯もあり、ロッシュ社が大口のユーザになることは予想できたでしょう。
新しい機械が登場すると、いろんな予想や憶測、将来の展望や業界のシェアなど、話題が豊富になりますね。
Sequelもその通りで、これによって何が可能になるか、が、いろんなところで議論されました。
そして、今年に入り、Sequelの試薬、プロトコル、ソフトウェアのアップデートが頻繁に、まるでRSの導入時のように頻繁にありました。
ご存知のかたもいるかもしれませんが、RSは日本に入ってきたとき、C1というケミストリーからC2に変わる時期でした。
なので、それこそ毎週のようにソフトウェアのアップデートがあったりしたものです。
ユーザのかたにはご迷惑かけましたが、最先端の装置はアップデートでどんどん良くなっていく、ということでご理解いただけたかと。
実際、C2になって、平均リード長が2,000 bpへと向上!しましたし、装置もだんだん安定してきましたしね。
C2から始まり、XL-C2、XL-XL、P4-C2、P5-C3、P6-C4 と、酵素&ケミストリーがバージョンアップし、ソフトウェアもSMRT Analysis 1.xから2.3まで更新され、光学系のバージョンアップでリード数が2倍になり(RS -> RSII)、マグビーズステーションの導入で長いライブラリも効率良く読まれるようになり、ステージスタートで長いSubreadがより多く得られるようになりました。
プロトコルもたくさんつくられ、デノボシークエンス以外にも、Iso-Seqやターゲットリシーク、HLAアンプリコンシークエンスなどにも対応できるようになりました。
さ、て、
いまのSequelはどうでしょう?
Sequelについては、8月5日に、GenomeWebにて、アップデートが報じられています。
こちらは公式な発表なので、ブログに書いても良いでしょう。
(前情報として、2012年の夏から、PacBio社はベルギーのImecと共同研究を始めています。ナノフォトニクスCMOS技術についての共同開発らしいです)
Sequel用SMRT Cellの生産は、開発されたImecから、現在、大量生産できる企業に移している最中("in the midst of transitioning to a high-volume supplier")だそうです。
Cellのパフォーマンスは、量産体制が確立され次第、より向上するだろう、とのこと。
Jonas Korlach CSO は、記事の中で、アップグレードを重ねた最新のデータでは、平均5Gb/Cell (3~8 Gbのレンジ)、平均リード長は8~12kbが出ている、と言っています。
(注! インサートの長さについては述べられていません)
しかし Piper Jaffray 社のリサーチによると、ユーザからは平均2kb~6kbのリードしか出ていないそうです。
これについて、Hunkapiller CEOは、パフォーマンスが悪い原因は、Cellの供給元がまだプロトタイプサプライヤーで、量産体制でないためである、と説明しています。
パフォーマンスは今後、大幅に改善 "substantially improved" されるとのことです。
つまり、現在パフォーマンスがイマイチだという声があるが、これはまもなくCellの大量生産体制が安定すれば、大幅に改善されるということ。
今でも Korlach CSOの言うとおり、とても良いデータが出ることもあるでしょうが、安定してどのセルでも良いデータが出ることが大事ですよね。
これまでPacBioは、「次はこうなる!」って言ったことは、まあまあ実現できているので、今回もCEOのMike Hunkapillerが公式に説明していますから、私は前向きに考えます。
"will be substantially improved"
0 件のコメント:
コメントを投稿