2017年7月5日水曜日

Dovetail Genomics ユーザーミーテイング報告 その2

Dovetailのヘビーユーザーさんたちは、どんな生物のゲノムをシークエンスしているのでしょうか?
となりのゲノムシークエンス、気になりますよね。

発表内容はあまり詳しく公開できないので、サマリー的なこと、私が個人的に「へー」って思ったことを書きます。

【植物】
さすが農業大国アメリカ。農産物は大概ゲノムを読まれています。
といっても難しいゲノムはあるわけで、今回発表があったのは、レタスとかピスタチオ、ブドウなどの2倍体がメイン。
レタスはそうとうしっかり読まれています。PacBioを使ってコンティグを作り、Dovetail ChicagoとHi-Cを使ってスキャフォルドを伸ばし、10Xを使ってフェージング、連鎖解析できれいに仕上げる。
先日のDovetailウェビナーにも登場した、UC Davisの Dr. Richard Michelmoreは、本当にゲノム読むのが好きだそうで、すごい楽しそうに発表していました。

ブドウといえばワイン。先日もFalcon Unzip の記事で書きましたが、UC Davisの Dr. Dario Cantu によるカベルネ・ソーヴィニョンのゲノムアセンブリの話。
この品種はF1品種だということは先日のブログでも書いた通りです。
ちなみに白ブドウのChardonnay(シャルドネ)はPinot Noir(赤ワイン用でも超有名)とGouais blanc(白)の掛け合わせF1品種。知っていたアナタは相当ワイン通です。
さて、ワイン用のブドウは他の農産物と違って、新品種を作ることはあまりしないらしい。昔から同じ品種を接ぎ木でクローンを作って増やしている。
なぜか?

それは、ワインというのは、世界中で共通して、名前で売れる商品だからです。
どんなに素晴らしい品種を新たに作っても、全世界のマーケットに浸透させるには莫大な手間とコストがかかる。
じゃあゲノムを読む必要は無いんじゃないか? と思ったんですが、クローンでも産地によってゲノムはだんだん異なってくるので、香りとか環境ストレス耐性とかに関係する遺伝子を知ることは、クローンごとの特徴を明らかにするためとても大事らしいです。

ちなみにDarioさんは数年前、新婚旅行に東京と京都に来たほど日本が大好き。
話していて楽しいひとでした。

倍数体のゲノムはどうでしょう?
これはPlant Animal Genomics学会でも発表がありましたが、倍数体にもモデル生物はあります。
Brachypodium hybridum という草は、異質4倍体 (2n=30, 509Mb)。
これはB. distachyon (2n=10, 272Mb) と B. stacei (2n=20, 234Mb) という2つの2倍体の種が進化の過程で合体?して4倍体になったらしいです。
この辺は発表者のDr. John Vogel の論文で詳しく書かれています。
ゲノムをアセンブリする際に、Meraculousというアセンブラーを使っています。
これはDovetail社でドラフトアセンブリする際にも使われているDiploid awareなアセンブリです。

さて、次回は哺乳類など。
お楽しみに

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