研究用の装置や試薬:日本で買うとなぜこんなに高いの?
「同じ製品を日本で買うと何でこんなに高いのか?」です
理由はたくさんありますが、簡単にいうと、輸入しているからです。もちろん商習慣(代理店システム)も関係します。
日本に支社が無い会社の製品などは、
- 製品を輸入代理店が輸入する
- 輸入した製品をディーラー(販売代理店)に売る
- ディーラーがエンドユーザー(大学や研究所)に売る
- アフターサポートは輸入代理店が行う
代理店、というのは実は種類があって、我々は輸入代理店、販売代理店と区別しています。海外から輸入手続きをするのが輸入代理店で、国内で実際のユーザーに販売するのが販売代理店。輸入して直にお客さんに販売している業者もありますが、輸入だけしてお客さんへの販売は大学に出入りしている業者さんにお願いするケースの方が多いです。
通常、大学に毎日出入りしている業者さん(ディーラー)は、製品のサポートは普通しません。いろんなメーカーの製品を先生に紹介して、見積もり作成、先生からの注文、納品を代行します。なので先生から見たらディーラーさんから物を買っているイメージでしょうね。ディーラーさんは扱う製品が膨大なので、どれか1社の製品を一押しすることはあんまりありません。
ディーラーさんは輸入代理店から製品を仕入れます。輸入代理店は通常、製品のことをメーカーと同じくらい詳しく知っていて、サポートもできる。なのでお客さんの所に行って製品の説明をするのは輸入代理店のひとが多い(私も前職ではそうでした)。お客さんから見たら、輸入代理店=メーカー。
輸入代理店はメーカーから製品を仕入れます。海外メーカーは、日本に支社がある場合は別として、普通は最初代理店システムを取ります。これはほぼ万国共通。なぜかというと、国によって税金やビジネスのシステムが異なるから、いきなり海外に支社を持つのはリスクが高いんですね。
ではここから、日本の例で、どのようにして海外製品がお客さんの元へ届けられるのかを見てみましょう。
通常、大学に毎日出入りしている業者さん(ディーラー)は、製品のサポートは普通しません。いろんなメーカーの製品を先生に紹介して、見積もり作成、先生からの注文、納品を代行します。なので先生から見たらディーラーさんから物を買っているイメージでしょうね。ディーラーさんは扱う製品が膨大なので、どれか1社の製品を一押しすることはあんまりありません。
ディーラーさんは輸入代理店から製品を仕入れます。輸入代理店は通常、製品のことをメーカーと同じくらい詳しく知っていて、サポートもできる。なのでお客さんの所に行って製品の説明をするのは輸入代理店のひとが多い(私も前職ではそうでした)。お客さんから見たら、輸入代理店=メーカー。
輸入代理店はメーカーから製品を仕入れます。海外メーカーは、日本に支社がある場合は別として、普通は最初代理店システムを取ります。これはほぼ万国共通。なぜかというと、国によって税金やビジネスのシステムが異なるから、いきなり海外に支社を持つのはリスクが高いんですね。
ではここから、日本の例で、どのようにして海外製品がお客さんの元へ届けられるのかを見てみましょう。
輸入手続き
輸入代理店は、輸入に関わる全ての手続きを代理で行います。
このへんは契約によるのですがたいていの場合は、FOB(Free on Board=本船渡し)です。調べると「これは輸出する港で、買う側の指定する船舶に貨物を積み込むことによって契約が完了し、運賃および保険料は買い手が負担します」とあります。FOB以外にも色々と種類あるんですけど、FOBが一番多いので。
簡単に言うとアメリカから輸入する場合、アメリカの空港や港まで、輸入する日本代理店が輸送業者を手配します。FedEXとか近鉄とか色々あります。
そこからの輸送費、保険、税金、通関諸経費、成田空港に着いた後の倉庫の確保、冷凍品ならドライアイスの入れ替え、地方ならそこまでの輸送費、などなどかかる経費は輸入代理店が負担します。(輸送費も、1トン近い重さの装置はバカにならない!)
簡単に言うとアメリカから輸入する場合、アメリカの空港や港まで、輸入する日本代理店が輸送業者を手配します。FedEXとか近鉄とか色々あります。
そこからの輸送費、保険、税金、通関諸経費、成田空港に着いた後の倉庫の確保、冷凍品ならドライアイスの入れ替え、地方ならそこまでの輸送費、などなどかかる経費は輸入代理店が負担します。(輸送費も、1トン近い重さの装置はバカにならない!)
まあ、これらは必要経費。輸入ってすごい大変なんですよ。
支払いは基本USドル(ヨーロッパの会社の場合はユーロ)。だから為替相場も関係してきて、だいたいここ数年の傾向を見て会社が決めています。安全を見て、銀行レートの10円から20円上を使っていると思います。円安になったからってそう簡単に値上げはできない。だから、「最近円高になっているのに、輸入製品なのになんで安くならないの?」という質問があると思いますが、円安になるリスクも抱えているので仕方ないのです。
ちなみにスーパーで輸入牛肉やワインとかが安く売られているのは、円高よりも関税が安くなったおかげが大きいですよ。為替はちょっとしたことで大きく変わりますが税率は当面変わりませんから安定している。価格に反映しやすいのです。
ちなみにスーパーで輸入牛肉やワインとかが安く売られているのは、円高よりも関税が安くなったおかげが大きいですよ。為替はちょっとしたことで大きく変わりますが税率は当面変わりませんから安定している。価格に反映しやすいのです。
仕入れの際の値引き?
輸入代理店が製品を海外メーカーから仕入れるとき、本国の定価より安い価格で買っていると思いますか? それは実は、メーカーによって様々なんです。あるメーカーはUS価格の50%で輸入代理店に売ってくれるし、あるメーカーはディスカウント無しです。 私の経験では、平均すると単価が安い製品はディスカウント率が高くて、単価が高い製品は値引率低め。20%程度の値引率で仕入れているケースがもっとも多いのではないかな?
本国定価1万ドルの製品なら、仮に20%引きとして8000ドルで輸入。そこに輸入にかかる経費が仮に500ドルかかったとします。8500ドルの製品を日本で売ることになる。
ドルの銀行レートが110円なら、仮に120円で計算したとして、102万円。
これをスタートに考えましょう
102万円+(新価格 x 0.3)=新価格
この時点で価格は145万7143円 (102万割る0.7)
端数切り上げ146万円
販売代理店はこの価格で輸入代理店から買って、大学に売らなければいけません。今の日本の大学では、業者さんと呼んでいる販売代理店を必要としているケースがほとんどです。彼らがいないと日本の大学の購買システムは恐らく回らない。
販売代理店も、日々の営業活動を行っていますのでマージンは欲しい。仮に20%とすると、146万円+(販売価格 x 0.2) =販売価格
はい、182万5000円
これが、定価になります。ちなみにこの定価は輸入代理店が決めます。
30%とか20%とか、マージン取りすぎじゃない? と思われたかた、実際はここから値引きがありますよね。エンドユーザーには5%引きとか10%引きとか、キャンペーンや大量購入の場合などにはもっとあるじゃないですか。
割引率を見越してのマージン設定なのです。このマージン率を減らすと、値引きがほとんどできなくなります。ですから実際は30%、20%ではなく、25%、15%かそれ以下のケースが多くあると思います。
なので、業者さんに割引をお願いして、「ごめんなさい、これ以上は難しいです」と言われたら本当に無理です。「ちょっと社内で相談してみます」と言われたら、「難しかったら結構ですよ」と優しい声をかけてあげてください。その声で救われる営業マンは多いと思います。
さて、上の例だとUS定価1万ドルの製品が日本定価182万5000円になったわけです。
もちろん、輸送費をまとめるなど工夫したり、為替設定を見直したり、メーカーからの卸値を交渉したりすれば、もう少し下がる可能性はあります。
あと、これはあくまで例なのはわかりますよね。全ての1万ドルの製品が182万円くらいで売られているわけではありません。試薬、装置、ソフトウェア、在庫が持てるものや持てないもの、手間がかかるものやそうでないもの、によって価格の決め方は様々です。
でも何となく価格決定の雰囲気を知ってもらえると幸いです。
輸入代理店が一度定価を決めてしまうと、それをカタログに乗せて、販売代理店やお客さんに配る。大学はこの定価に基づいて予算を組む。高額製品は入札がある時もある。企業側はそう簡単に定価を変えられない。
そう、定価設定は超重要なんです。
ドルの銀行レートが110円なら、仮に120円で計算したとして、102万円。
これをスタートに考えましょう
マージン 利益
マージンは2通りあります。まずは輸入代理店が欲しいマージン。次に販売代理店が欲しいマージン。
さて、これから例に出すマージン率は、わかりやすくするため&計算がしやすいように30%、20%としています。この数字が現実的かどうかはみなさんの想像にお任せします。あくまで例ですよ。明日ラボに来た営業マンに数字聞かないでくださいね。
さて、これから例に出すマージン率は、わかりやすくするため&計算がしやすいように30%、20%としています。この数字が現実的かどうかはみなさんの想像にお任せします。あくまで例ですよ。明日ラボに来た営業マンに数字聞かないでくださいね。
輸入代理店は販売代理店に売ります。その時のマージンを仮に30%とします。
輸入代理店はさっきの102万円に利益を30%乗せて、販売代理店に売りたい、とします。なぜなら営業・マーケティング・サポート経費をこの中から捻出し、かつ純利益もこの中から出さないといけないのです。102万円+(新価格 x 0.3)=新価格
この時点で価格は145万7143円 (102万割る0.7)
端数切り上げ146万円
販売代理店はこの価格で輸入代理店から買って、大学に売らなければいけません。今の日本の大学では、業者さんと呼んでいる販売代理店を必要としているケースがほとんどです。彼らがいないと日本の大学の購買システムは恐らく回らない。
販売代理店も、日々の営業活動を行っていますのでマージンは欲しい。仮に20%とすると、146万円+(販売価格 x 0.2) =販売価格
はい、182万5000円
これが、定価になります。ちなみにこの定価は輸入代理店が決めます。
30%とか20%とか、マージン取りすぎじゃない? と思われたかた、実際はここから値引きがありますよね。エンドユーザーには5%引きとか10%引きとか、キャンペーンや大量購入の場合などにはもっとあるじゃないですか。
割引率を見越してのマージン設定なのです。このマージン率を減らすと、値引きがほとんどできなくなります。ですから実際は30%、20%ではなく、25%、15%かそれ以下のケースが多くあると思います。
なので、業者さんに割引をお願いして、「ごめんなさい、これ以上は難しいです」と言われたら本当に無理です。「ちょっと社内で相談してみます」と言われたら、「難しかったら結構ですよ」と優しい声をかけてあげてください。その声で救われる営業マンは多いと思います。
さて、上の例だとUS定価1万ドルの製品が日本定価182万5000円になったわけです。
もちろん、輸送費をまとめるなど工夫したり、為替設定を見直したり、メーカーからの卸値を交渉したりすれば、もう少し下がる可能性はあります。
あと、これはあくまで例なのはわかりますよね。全ての1万ドルの製品が182万円くらいで売られているわけではありません。試薬、装置、ソフトウェア、在庫が持てるものや持てないもの、手間がかかるものやそうでないもの、によって価格の決め方は様々です。
でも何となく価格決定の雰囲気を知ってもらえると幸いです。
輸入代理店が一度定価を決めてしまうと、それをカタログに乗せて、販売代理店やお客さんに配る。大学はこの定価に基づいて予算を組む。高額製品は入札がある時もある。企業側はそう簡単に定価を変えられない。
そう、定価設定は超重要なんです。
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