2014年3月10日月曜日
NGSワークショップ@つくば
「次世代シーケンサー研究推進のための
データ解析ワークショップ(NGSワークショップ)」
というイベントが3月12日、つくばにて行われます。
私はここで、PacBioについて少し喋る予定です。
最近、PacBio関連でいろいろニュース(大型ゲノムのアセンブリやcDNAシークエンスなど)が出てきています。
昨年の「NGS現場の会・第3回大会」で話したことから随分Updateがあります。
これからのロードマップについても皆さん興味あるところでしょうね。
「現場の会」のメーリングリストでは先週まだ参加を募集していましたので、12日の方は参加可能だと思います。
それでは、今日はお知らせだけにして、プレゼン作りに励みます!
2014年2月19日水曜日
PacBioデータだけでヒトゲノム54X
AGBTに参加された方はこのニュースをフロリダで聞いたのかもしれません。 (私は日本でしたが)
PacBioは昨年、バクテリアサイズのゲノムアセンブリにおいては、ライバルはいない! と言っても過言ではないほど、確固たる地位をつくりました。
チャレンジは少しずつ大きなゲノムサイズに移り、ホウレンソウゲノム、Arabidopsisゲノム、Drosophilaゲノムも、PacBioだけで読める、アセンブリできる、というレベルになりました。
そして、今、まさに時代はヒトゲノムをPacBioだけでアセンブリしようというステージに突入!
以前、彼らはここのブログでヒトゲノム10x読んで、それを公開したことを報告しましたが、今回はこれをさらに44x分読み足したということです。
これにより、NIHのAlternate reference assemblyはより精度が上がることが予想されます。
とは言っても、この、ヒトゲノム54カバレッジ分のSMRT Cellデータ、普通のサーバでは解析でき無さそうなことは予想できます。
ちなみに、アセンブリは、まだプロトタイプの次世代HGAp(FALCON+CA8.1)を使用
一番計算処理に負担がかかるところが、最初のPre-Assembly(エラー補正)ステップです。
PacBio社は、ここでGoogleの協力を要請。 Google Cloud Platformのスパコンシステムで、405,000 CPU hoursを使用することで、たった一日でシングルリード同士をアラインさせてPre-Assembly終了!
“普通の” サーバでやったら何か月(?)かかるのかな。
このPre-Assemblyされたデータを使って、PacBioでCelera Assemblyし、3.25Gbのアセンブリ配列、4.38Mb のN50、44Mbの最大Contigを得ることができました。
この数字、Contig N50= 4.38Mb というのは、2013年6月14日現在のCHM1アセンブリでのContig N50= 144Kbと比べて桁違いに大きいです。
昨年10月のアメリカ人類遺伝学会では、ヒトゲノム10xをPacBioで読んだ、というのが話題になりました。
その時、別のセッションで、hg20、GRCh38のリリースの話もありました。
これは新しいゲノムリファレンスの話で、今までのヒトゲノム参照配列のバージョンアップです。
PacBio 54xプロジェクトによって、新たに大きな構造変異などが見つかることでしょう。
今までリファレンスと呼ばれていた配列も、、大幅に変わってくるかもしれませんね。
個人ゲノムの幕開け(の幕開け?)、のような気がするのであります!
2014年2月14日金曜日
Blue Pippin - PacBioデータを最大限に生かす組み合わせ
Icahn Institute for Genomics and Multiscale Biology、Mount Sinai (NY)の研究者、Dr. Robert Sebraによると、Blue PippinはPacBioのロングリードアドバンテージを最大限に生かす、最高のマシンです。
Blue Pippinとは何か?
通常、ライブラリ作製をすると、狙ったサイズでシェアリングしても、短い長さのDNA断片も混ざってきてしまいます。
AMPureビーズ精製で途中何度も短いフラグメントを除く作業が入りますが、これは数~数十bp位の非常に短いフラグメントを除くためのもの。
例えば20kbを狙ってSMRT Bellを作ったときの、1kbのBellを取り除きたい時、AMPure濃度を変えて行うプロトコルもあるにはありますが、きっかり取り除くことは難しいそうです。
であれば、ライブラリをゲルに流して、大きなサイズだけを切り出し、という手が思いつくかもしれません。
そうです。
それを自動でやってくれるのがBlue Pippinです。
カセットには5レーンあって、最大4サンプルまで一度に、あと1つのレーンはマーカーを一緒に電気泳動で流し、取りたいサイズのマーカーが来たら、電流の方向を変えて、取りたいサイズのサンプルを別の穴に入れる、
と、ざっくり言えばこんな感じです。
どのサイズで区切ったら良いのか、というのは、10kb、7kb、4kbと今は3種類あり、DNA量によって使えるサイズの限度があります。
7kbで区切る、という意味は、例えば作製した20kb SMRT Bellライブラリを電気泳動して、7kb以上の長さのSMRT Bellだけ抽出する、ということです。
そもそも、短いライブラリが混ざると何がいけないのか?
良く聞かれる質問です。
ライブラリが短いと、SMRT Cellのウェル、ZMWに入りやすいのです。
経験上、3kbより短いライブラリはそれ以上の長さのものよりもZMWに入りやすいようです。
MagBeadsとかで、長いライブラリを優先的にZMWの穴にロードする技術はあるのですが、それでも、20kbと3kbでは、圧倒的に3kbが穴に入りやすいらしい。
らしい、というのは実際の観察は不可能なので、データから予想するしかないからです。
そうするとどうなるか?
短いライブラリが競争で勝ってしまうと、出力するデータの、特にサブリードが短いものばかりとれてしまう。
サブリードというのは、SMRT Bell ライブラリの長さを超えることはありえないので、結局、長いライブラリを読んでいることにはならない。
このグラフは、Dr. Sebraが、同じMRSAサンプルを、Blue Pippinサイズセレクション有り無しで読んだ時のサブリードの分布です。
上が無し、下が有り (SMRT Cellの数と目盛が違うのに注意)
注目すべきは、サブリードのN50 が、Blue Pippin無しのときが5,000bp、有りのときが12,500bpという点!
これは今までのデータと比較するとすごいことなんです。
今、PacBioを使って20kbライブラリをSequenceするときは、Blue Pippinによるサイズセレクションがほぼ必須になりつつあります。
彼らは今、NA12878のサンプルを、Blue Pippinサイズセレクションした後のライブラリを使って、読み続けています。
もう既に30x以上、読んだそうです。
この、Sage Science社のテクニカルノートのPDF版が欲しい方は、いつものように、info_pac(アット)digital-biology.co.jp までお気軽に。
誰にでも差し上げます。
ちなみに彼(Dr. Sebra、Bobbyという愛称で呼ばれています)は、写真ではわかりづらいですがすごい面白い人物です。
ユーモアがあり、ファッションにこだわり、日本が好きで、昔DJをやってたくらい音楽が好きで、かつ良い意味でのクレージー、そして紳士です。
今度日本に呼ぼうかなあと計画していますが、まだわかりません。 その時はお知らせします!
Blue Pippinとは何か?
通常、ライブラリ作製をすると、狙ったサイズでシェアリングしても、短い長さのDNA断片も混ざってきてしまいます。
AMPureビーズ精製で途中何度も短いフラグメントを除く作業が入りますが、これは数~数十bp位の非常に短いフラグメントを除くためのもの。
例えば20kbを狙ってSMRT Bellを作ったときの、1kbのBellを取り除きたい時、AMPure濃度を変えて行うプロトコルもあるにはありますが、きっかり取り除くことは難しいそうです。
であれば、ライブラリをゲルに流して、大きなサイズだけを切り出し、という手が思いつくかもしれません。
そうです。
それを自動でやってくれるのがBlue Pippinです。
カセットには5レーンあって、最大4サンプルまで一度に、あと1つのレーンはマーカーを一緒に電気泳動で流し、取りたいサイズのマーカーが来たら、電流の方向を変えて、取りたいサイズのサンプルを別の穴に入れる、
と、ざっくり言えばこんな感じです。
どのサイズで区切ったら良いのか、というのは、10kb、7kb、4kbと今は3種類あり、DNA量によって使えるサイズの限度があります。
7kbで区切る、という意味は、例えば作製した20kb SMRT Bellライブラリを電気泳動して、7kb以上の長さのSMRT Bellだけ抽出する、ということです。
そもそも、短いライブラリが混ざると何がいけないのか?
良く聞かれる質問です。
ライブラリが短いと、SMRT Cellのウェル、ZMWに入りやすいのです。
経験上、3kbより短いライブラリはそれ以上の長さのものよりもZMWに入りやすいようです。
MagBeadsとかで、長いライブラリを優先的にZMWの穴にロードする技術はあるのですが、それでも、20kbと3kbでは、圧倒的に3kbが穴に入りやすいらしい。
らしい、というのは実際の観察は不可能なので、データから予想するしかないからです。
そうするとどうなるか?
短いライブラリが競争で勝ってしまうと、出力するデータの、特にサブリードが短いものばかりとれてしまう。
サブリードというのは、SMRT Bell ライブラリの長さを超えることはありえないので、結局、長いライブラリを読んでいることにはならない。
このグラフは、Dr. Sebraが、同じMRSAサンプルを、Blue Pippinサイズセレクション有り無しで読んだ時のサブリードの分布です。
上が無し、下が有り (SMRT Cellの数と目盛が違うのに注意)
注目すべきは、サブリードのN50 が、Blue Pippin無しのときが5,000bp、有りのときが12,500bpという点!
これは今までのデータと比較するとすごいことなんです。
今、PacBioを使って20kbライブラリをSequenceするときは、Blue Pippinによるサイズセレクションがほぼ必須になりつつあります。
彼らは今、NA12878のサンプルを、Blue Pippinサイズセレクションした後のライブラリを使って、読み続けています。
もう既に30x以上、読んだそうです。
この、Sage Science社のテクニカルノートのPDF版が欲しい方は、いつものように、info_pac(アット)digital-biology.co.jp までお気軽に。
誰にでも差し上げます。
ちなみに彼(Dr. Sebra、Bobbyという愛称で呼ばれています)は、写真ではわかりづらいですがすごい面白い人物です。
ユーモアがあり、ファッションにこだわり、日本が好きで、昔DJをやってたくらい音楽が好きで、かつ良い意味でのクレージー、そして紳士です。
今度日本に呼ぼうかなあと計画していますが、まだわかりません。 その時はお知らせします!
2014年2月13日木曜日
NextSeq500
「Sochi 2014」 ソチオリンピックで行われていた、日本対ロシアの女子カーリングの試合に見入ってしまいました。
カーリングって結構長丁場です。 氷上のチェスと言われるように、静かな知的スポーツです。
やったことは無いですが、昔、カナダに留学していた頃、良くアマチュアHockeyを見に行ってました。 そのメイン会場の隣、サブ会場で熱く繰り広げられていたのが、Curlingでした。
それまでCurlingは、おじさんおばさんのスポーツ、っていう偏見を持っていたのですが、とんでもない! きれいなお姉さんが真剣な顔してストーンを滑らせている姿は、思わず見入ってしまいました。
「見るとこ違うだろ!ストーンを見ろ!」という声が聞こえてきそうなので個人的なことはこれくらいにして、今日も某社の新型シークエンサーの話です。
イルミナ社の新型シークエンサー、NextSeq 500が日本でもお披露目されています。
HiSeqとMySeqの中間機種、「初めてのハイスループットデスクトップ型シーケンサー」(イルミナ社)ということらしいです。
デスクトップということで、横幅・奥行はMiSeqとほぼ同じ、高さはNextSeq500の方が高い。
以下の写真は、私の友達の友達(ほとんど他人?)がつくっているサイト(AllSeq)から拝借しました。
先ずはデザイン。 光沢感のある黒をベースにまとめていますね。
MiSeq Dxから、黒系にシフトしたのかな。 前は白が多かった気がします。
シークエンサーという感じがしないです。 私だけ?
そういえばシークエンサーって、黒+白の組み合わせが多いですね。 個人的には真っ赤なシークエンサーも良いと思うんですが。
続いてフローセル
でかい! 超でかい!!
iPad mini か、ってくらいでかい!
ちなみに左がHiSeq2500のラピッドモードフローセル、右がMiSeqのフローセル
この特大NextSeq500フローセルは、4レーンあるように見えますが、実はつながっていて、実質1レーンだそうです。
複数サンプル流すには、バーコードが必要ということか。
こちらのブログ曰く、スループットで言ったらHiSeq2500の方が断然買いだそうです。
HiSeq2500がアップグレード後のスループット1000Gbで、NextSeq500が120Gb
スループットで言えばHiSeq2500の8分の1です。
NextSeq500は1人分のヒトゲノムを40xで読むことができる。しかし今の時代、誰がヒトゲノムを1検体ずつ読むのか?と言っています(さすがアメリカ人のブログ)。
1ランに29時間かかる。 コンスタントに流すにはスケジュールをちゃんと組まなきゃいけませんね。
HiSeq2500なら、アップグレード後なら、8検体ヒトゲノム40xを、6日で一気に読めるそうです。
また、アップグレード前でも、8レーン使えるハイスループットモードと、2レーン使えるラピッドモードがあり、2つのフローセルをそれぞれ別々のモードを設定できるらしいので組み合わせはたくさん。
というわけでHiSeq2500の方が、ミドルクラスからハイクラスまで使い勝手が広い、と言っています。
NextSeq500の特徴は、2つの蛍光を使って4塩基を検出するということ。
これにより光学系を節約しているとか。
2つの蛍光で4塩基を検出というのは、レッドでCを、グリーンでTを、その両方の蛍光でAを、蛍光無しのときGを検出するということらしいです。
ん?蛍光無しのときG?
まだ実際のデータがたくさん出て来ていませんが、何らかのエラーバイアスがありそうな気もします。
とはいえ、デスクトップ型で、このスループットを出してきたのはすごい。
将来が楽しみです。
2014年2月12日水曜日
AGBT2014 PacBioプレゼンテーションのお知らせ
最近、関東でも雪が降っていますね。
風邪などひいていませんでしょうか? 私はひきました。
でも、インフルエンザでなければ、1日ずっと寝る+ビタミンで、治します!
まだ私は行ったことが無いのですが、AGBTが今週末フロリダで行われます。
参加される方はいますか?
PacBioも展示、プレゼン、ワークショップ、を頑張るみたいです。
ポスターもたくさん。日本人ユーザの発表もあるようですね。
以下のチラシ、をPDFで欲しい方、info_pac(アット)digital-biology.co.jp まで、
1.お名前、2.AGBTに行くかどうか、を書いて送って下さい。
もれなくどなたでも、差し上げます。
PacBioのブースでも、もちろんもらえると思いますよ。
残念ながらAGBTに行けない方(私を含め)、ワークショップの模様はビデオ撮影されますので、後程見ることができます。
ビデオプレゼンテーションの視聴に登録したい方は、こちらから是非どうぞ!
2014年1月29日水曜日
SMRT Portal
PacBioのデータ解析ソフトに、SMRT Analysis というものがあります。
コマンドラインツール、ウェブベースのGUIツール、が含まれているパッケージソフトで、何と無償です。
PacBioのユーザー以外でも誰でもここからダウンロードして使えます。
左下のsmrtanalysisというところから、お使いのOSバージョンを確認して落とします。
サーバの必要スペックが結構高くて、基本はクラスターサーバです。
SGEなどのジョブエンジンが動いている必要があります。
ちなみにSGEは有償/無償のものがありますが、どちらでも動きます。
基本クラスターサーバと言ったのは、動かすだけなら、時間かかっても良いなら、マルチコアでメモリーたくさん積んだシングルノードのサーバでも十分だから。
でも、PacBioはお勧めしてません。
データ量が年々倍々に増えていくので、必要最低スペックでサーバを購入してしまうと、後で増設しないといけない。
当たり前かもしれませんが、私も実感しています。
ウェブGUIベースのSMRT Portal の使い方を説明した、いーいビデオがあります。
こちら
バージョンはちょっと前だけど、アセンブラ(HGAp)とBaseMod(塩基修飾)のやり方が、紹介されています。
クリック、クリックで簡単操作~!
基本の画面は、2年間あまり変わっていません。
およそ4半期ごとに行われるバージョンアップで、解析機能メニューが増えたり、減ったりはします。
次のバージョンアップでは、以下の機能追加を予定しています!
確定ではありませんので。
しかしこれらの解析は、実験系も同時にアップデートしないといけない。
完全cDNAのシークエンスは、今後、Iso-Seqと呼びます。
Isoform Sequenceの略です。 これについてはまた別の機会に書きます。
SMRT Analysis、インストールやアップデートは、結構ハードルがあったり面倒くさかったりするんですが、解析機能そのものは私は好きです。
余分な機能が付いていない、シンプルなところが好きなのかもしれない。
GUIはデザインも良いと思いますね。
コマンドラインツール、ウェブベースのGUIツール、が含まれているパッケージソフトで、何と無償です。
PacBioのユーザー以外でも誰でもここからダウンロードして使えます。
左下のsmrtanalysisというところから、お使いのOSバージョンを確認して落とします。
サーバの必要スペックが結構高くて、基本はクラスターサーバです。
SGEなどのジョブエンジンが動いている必要があります。
ちなみにSGEは有償/無償のものがありますが、どちらでも動きます。
基本クラスターサーバと言ったのは、動かすだけなら、時間かかっても良いなら、マルチコアでメモリーたくさん積んだシングルノードのサーバでも十分だから。
でも、PacBioはお勧めしてません。
データ量が年々倍々に増えていくので、必要最低スペックでサーバを購入してしまうと、後で増設しないといけない。
当たり前かもしれませんが、私も実感しています。
ウェブGUIベースのSMRT Portal の使い方を説明した、いーいビデオがあります。
こちら
バージョンはちょっと前だけど、アセンブラ(HGAp)とBaseMod(塩基修飾)のやり方が、紹介されています。
クリック、クリックで簡単操作~!
基本の画面は、2年間あまり変わっていません。
およそ4半期ごとに行われるバージョンアップで、解析機能メニューが増えたり、減ったりはします。
次のバージョンアップでは、以下の機能追加を予定しています!
- cDNAの解析: アイソフォームごとにサブリードをクラスタリングして、ゲノムにマッピング
- ロングアンプリコン: キメラ配列がある場合のフィルタリング機能追加
- マイナーアレル変異検出: CCSで1%程度のマイナー変異を検出
確定ではありませんので。
しかしこれらの解析は、実験系も同時にアップデートしないといけない。
完全cDNAのシークエンスは、今後、Iso-Seqと呼びます。
Isoform Sequenceの略です。 これについてはまた別の機会に書きます。
SMRT Analysis、インストールやアップデートは、結構ハードルがあったり面倒くさかったりするんですが、解析機能そのものは私は好きです。
余分な機能が付いていない、シンプルなところが好きなのかもしれない。
GUIはデザインも良いと思いますね。
2014年1月27日月曜日
遺伝子検査会社淘汰の時代が来る
今年に入って、遺伝子診断・検査関連のニュースが多く目につきます。
某芸能人の息子の父親が違ったとか、あの話題のせいかな?
いや違います。もっと大きな、時代の必然なんです。
正月明けも間もない、1月8日の読売新聞の一面は、「遺伝子ビジネス 認定制に - 悪質検査に歯止め」
経済産業省によると、国内で遺伝子検査ビジネスをする業者は、2012年現在、約740社あるらしい。
740社ですよ!
うち15以上の業者は、アメリカや中国の代理店だそうです。
想像はつくが、サービスの質は玉石混淆。中には科学的根拠の薄い結果で一般人を不安にさせて、ツボを買わせるような(笑)、そんな会社もあるんでしょうねえ。
ちょっとググればいっぱい出てきます。「遺伝子検査」をビジネスにしている会社。
特にアンジョリーナ・ジョリーの乳がんの遺伝子検査が話題になった去年、一般人にも広く、「遺伝子を調べたら病気のリスクとかがわかるらしい」という認識が広がったと思います。
でもね、このブログを見てるひとの常識は、一般人の常識とはかなりずれていると思うんです!
あ、ごめんなさい。
一般常識ではなくて、遺伝子検査に対する知識とその常識、という意味です。
試しに、DNAと遺伝子、SNP、遺伝子に起因する疾患、とは何かを、あなたの親戚や近くの文系女子/男子に説明してみて下さい。
認識がとんでもなくズレていることに気付くはず。
これは仕方ないんです。 学校で学ばないんですから。 高校でも、メンデルの実験でエンドウマメのしわがどうとかこうとかで終わりでしょ。 私の時代はそうでした。
大人になってからはさらにたちが悪く、テレビなどで「遺伝子」や「遺伝」、「DNA」という言葉が間違った意味で使われる。
曰く、創業者の遺伝子
曰く、技術立国ニッポンのDNA
曰く、アスリートの遺伝子
受け継がれるもの、社風、才能、という意味で使われることがとても多い。
マーケティング用語としてはとても良いけれど、基礎になる知識が無いところに、造語が入ってくると、本当の意味がわからないまま間違ってインプットされていまうのがとても怖い。
良い遺伝子・悪い遺伝子、なんて無いのに、多くの一般人は存在すると信じていますよ。
私たちは、GenotypeとPhenotypeの間に、何らかの関連があることはわかっています。
多くの科学者が、その関連性を研究しています。
同時に、Phenotypeによっては、Genotype+環境要因・外的要因が大きく影響することもわかっています。
私は医者ではありませんが、病気の多くは、Genotypeが関連していると思います。それは否定しません。
しかし単一遺伝子がトリガーとなる病気は乳がんなど一部を除いてそれほど多くないと思います。
また、Genotypeで発症が100%断定できるほど、単純ではありません。
そこで、確率の登場です。
平均と比べて、あなたの将来の病気のなりやすさを確率で示してくれる。
それが多くの、例えば23andMeなどの簡易遺伝子テストの結果です。
この、確率というものもまた厄介で、人によって印象が違う。
「ある病気にかかる確率が平均と比べて1.5倍高い」と言われた時、これを高いと見るか、低いと見るか。
競馬やってるひとなら「たったの1.5倍か」で、現物で株やってるひとなら「1.5倍もあるのか」、になるかもしれない(笑)。 まあ、そのひとが理系では無い、という前提でね。
遺伝子検査.comというサイトがあるんですが、ここはさらに、人間の才能も遺伝子検査でわかる!ということを謳い文句にビジネスしてます。
これを見て一般の人は、「遺伝子検査ってすごい!」って思ってしまうでしょう。
勿論あなたは全く違った印象を持つと思います。
遺伝子検査と十把一絡げに言っても、Genotypeを検査するまでのテストと、Phenotypeを予測する検査・テストは違いますね。
これは良く混合されて議論されるので、はっきり分けないといけないと思う。
親子鑑定や犯罪現場のDNA鑑定は、Genotypeの検査でほぼ100%正しい。
だから一般の人は、その他のPhenotypeの解釈も含めた遺伝子検査・テストも100%正しいと勘違いしてしまう。
今度遺伝子検査やテストのニュースがテレビに出たら、注意して見てみて下さい。
タレントのコメンテーターの話すレベルが、一般人の感覚のバロメーターです。
そう注意して見ていれば、普通の人の感覚がわかります。
今の多くの簡易検査会社は、特定の遺伝子を調べたり、SNPアレイで既知のSNPを調べています。
そこで今までGWASやらでわかっている情報を基に、疾患のなりやすさや薬の代謝のされやすさなどのPhenotypeをレポートしています。
私も2年前、23andMeの検査をしました。 多少SNPの知識があれば、それなりに面白い。
SNPの情報が随時アップデートされていて、勉強にもなりました。
でも、最近、こんなブログを見つけて、「ああやっぱりねー」という気分にもなりましたが。
まあ、740社もあれば、中には疑わしい悪質業者もいるでしょう。
今は規制が無いのでやりたい放題。 いつか事件を起こして、「遺伝子検査は嘘っぱちだ!」みたいな世論ができる可能性も十分ある。 それは怖いです。」
でも将来、遺伝子の検査は、確実に医療に貢献していくと思います。
ゲノムを解読して、個人のゲノム情報を基に、医師が治療方針を決めたりする時代は、近い将来必ず来ます。
そして、遺伝子という言葉やゲノムという言葉が、ますます一般的に使われるようになります。
ですから、国民が遺伝子の正しい知識を持つことが必須になってくるんです。
騙されないためにも!
つい最近も、ソニーがヒトゲノム解析ビジネスに参入するニュースが流れました。
2月にP5という専門会社を立ち上げるそうです。
今年はそういう大きなニュースが他からも出てくるでしょう。
ベンチャーもどんどん出てくるでしょう。
そんな中、認定制になって、悪い業者は淘汰されることを祈ります。
何といっても個人ゲノムは大きな財産・ビッグデータです。
私もシークエンサーやってますから、そういう話は良く聞きますし、時代についていくためにフォローしています。
医療、製薬、保険、IT、それぞれの業界が絡んだ大きなビジネスで、いずれ、そこからゲノム企業の巨人が登場するんじゃないか、と勝手に想像してます。
そんな小説が書けるかもしれませんね。
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