2018年1月12日金曜日

平均リード長20kb越えって、もう珍しくない?

今年もニュースになりました、JP Morgan Healthcare Conference
英語のサイトでいろいろ書かれていますが、まとめサイト的には
1日目はここ
2日目はここ
3日目はここ
がわかりやすいか。

さて、そんな中PacBioの発表は、iSeqのような新製品ではないものの、これまでの常識を遥かに超えるものでした。CEOによると、
新しいケミストリーとソフトウェアが2月を目標にリリースされます。
今のベータテスターの結果によると、次のような結果が既に出ているとのことです。

【ゲノムシークエンス用のラージサイズライブラリの場合】
1セルあたりのスループット:12Gb
平均リード長:25kb
最長リード長:100kb

【ターゲットアンプリコンシークエンスの場合】
1セルあたりのスループット:16.5Gb
平均リード長:33.5kb
最長リード長:135kb

【Iso-Seq(完全長cDNAシークエンス)の場合】
1セルあたりのスループット:22Gb
平均リード長:37kb
最長リード長:200kb

PCR産物の場合はDNAのクオリティがゲノムDNAと比べて高いので、全体的なスループットが高くなる傾向にあります。
それにしてもゲノムDNAのライブラリで平均リード長が25kbとは、もう、昨年作ったカタログをまた作り変えないと。

さらに、2018年末に予定しているスループット8倍のセル、についてもマイク(CEOの愛称です)は触れています。
これはちょっと、私も間違ったうわさを聞いたことがあるので正確にお伝えしておきますね。

スループット8倍のセルとは、ZMWの数が今の100万から、800万になるSMRT Cellのことです。価格ではありません。
800万個のZMWでシークエンスを行い、DNA合成反応から塩基を検出するには、今よりも格段に優れた光学系部品とベースコール計算機が必要になります。
そのため、単純に新しいセルが発売されるのではなく、それに伴い装置内部のアップグレードも必要になります。これは有償になる予定です。金額は現段階では未定です。

PacBioではこの800万ZMWセルについて、アップグレードパスが用意されている、という言い方をしています。
アップグレードへの道がある、という感じでしょうか。
しかし、800万ZMWのセルが出たら、ロングリードの新しい世界が次のステージに行くでしょう。
1セルでヒトゲノムアセンブリ程度のデータが、20kb以上のロングリードで出てくるのですから。
それが後1年で可能になります(I hope)

これに備えて、今から新サービスやソフトウェア開発を始めている企業も、あるかもしれませんね。

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