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1月も終わり、アメリカの有名学会、AGBTが近づいてきました。
私も例年通り、あたかも行って見てきたかのような(笑)、レポートをしたいと思います。
今年のPacBioの目玉は、やっぱりSequel
あの会社と合同シンポジウムをするとかで、注目度は上がっていますよ。
さて、AGBTと言えば・・・
以前、AGBTのPacBioワークショップにて、Cold Spring Harbor LaboratoryのDr. Dick McCombieが、PacBioでHer2-増幅乳がんセルラインのゲノムを読んだ発表があった、とお伝えしました。
そのMcCombie氏の共同研究者でもある、Dr.Mike Schatz
Schatz氏のインタビューが、ここから聞けます。
とてもはっきりとしたきれいな英語なので、聞き取りやすいし、リスニングの練習にもなるかも。
話題は、そのがんゲノムアセンブリの話やロングリードの話にとどまらず、将来的に必要とされる、次世代ゲノムブラウザの話に及びます。
次世代ゲノムブラウザ?
ひとつお断りすると、Schatz氏は実際にはこう呼んでいません。すいません。
今のようにひとつのリファレンス配列にマッピングしてジェノタイピングをするのではなく、人種ごとにもっと多くのリファレンス配列が必要です。
この、「人種別リファレンス計画」が実現味を帯びてきたのは、やはりロングリードの技術革新。PacBioを使えば、これまで国際プロジェクトだったプロジェクトも、数箇所の大学や企業との共同研究で、数年で完結できる。
2016年はそんな成果がどんどん出てくる年になります。
さて、PacBioなどの技術をフル活用して人種ごと、あるいはもっと細かいレベルの集団のリファレンス配列を作ったとします。
たぶんそういった細分化されたリファレンスゲノムは、人種ごとに大きく違う。
個人ゲノムをどんどん読んで、マッピングしてジェノタイピングするには、できるだけその人に似た集団のリファレンスを選ぶようになるでしょうね。
また、どんどん集団が細分化されて、リファレンスそのものの定義も将来変わってくるでしょう。
将来的には個人レベルでゲノム配列が決定される時代がくるかもしれない。
がんなど、Somaticな変異を見たい場合は、個人ゲノム配列があったほうが良いでしょうね。
今はまだ、個人ゲノムシークエンスといっても、ゲノム配列を決定しているわけではありません(これを読んでいるひとはわかると思いますが、結構誤解されるひともいるので念のため)。
そうなってくると、UCSCゲノムブラウザのように1本のリファレンス配列を表示、というわけにはいかないでしょう。
どんなブラウザが良いのか?
ヒトゲノムのアセンブル結果を、その後のジェノタイピングまで考えた上で、わかりやすく表示するのにはどうしたら良いのか?
若いバイオインフォマティシャンたちに期待するところです。
個人的には、2012年のNGS現場の会(大阪)にて、誰かの開発した「3次元ゲノムブラウザ」を見せてもらって、ああ、これいいな、と思った記憶があります。
でも人間の頭は2次元ゲノムブラウザに慣れている?から、3次元で表現された情報が万人に受けるには時間がかかりそう。
でも、今のゲノムブラウザでは早晩限界が来ると思っています。
想像ですが、この技術革新は、NIHや大学や国際コンソーシアムなどが作るより先に、Googleなどの企業から生まれてくる気がします。
この手のプラットフォームを確立させてしまえば、クリニカル現場に膨大な影響を及ぼすことができますからね。マーケティングもうまいし。
もうどっかのベンチャーが開発しているかも。
最後に、Schatz氏はインタビューでも言っていますが、Cold Spring Harbor LaboratoryでもSequelを購入。これからヒトゲノムをいくつも読む予定だそうです。
余談ですが、Schatz氏は昨年子供が産まれ、ASHG前日のPacBioパーティでは赤ちゃんを抱っこして回っていました。終始パパさんの顔でしたよ。
2016年1月31日日曜日
2016年1月25日月曜日
第二回PacBio現場の会・タイトル決定
開催まで一ヶ月を切った「第二回PacBio現場の会」ワークショップセミナー
参加ウェブサイトはこちら
演者の皆様から頂いた、講演タイトルをお知らせします。(1/31編集)
前回(2年前)はバクテリアアセンブリの話しが多かったですが、今回は色んな分野、本当に色んな分野のお話が聞けますよ。
国内ユーザ様、共同研究者様からのご講演
海外招待講演
海外ドライ系の会社からの発表
すみません、講演の順番は調整中です。
このうち、東京大学の小森様の発表はとてもユニークです。
アメリカ Mount Sinai Medical School からの招待演者については、未だタイトルが決まっていませんが、内容はこんな感じで考えてもらっています。
ご存知の方もいるかもしれませんが、演者の Dr. Bobby Sebraは、創業間もない時期のPacBio社員。
PacBioの装置も試薬も知り尽くしているからこそ、挑戦的な実験もどんどんやっているそうです。
彼のボスは元PacBioの Chief Scientific Officer、Dr. Eric Schadtです。
Roche Bioscience社にて研究をしていたこともあるDr. Schadtは、当然Roche社とも太いパイプがあるでしょう。3台あるRSIIのうち1台は、かつての454研究所にあるという。
そんな背景があってかどうか、新型装置Seqeulのアーリーユーザです。
あ、それともしかしたらもう1人、ドライ系の演者が増えるかもしれません。
増えました。DNAnexus社です
新型装置Sequelについて、聞きたいことがあるかたもいらっしゃると思います。
それについて知る良い機会かもしれませんね。
参加登録はこちらから
参加ウェブサイトはこちら
演者の皆様から頂いた、講演タイトルをお知らせします。(1/31編集)
前回(2年前)はバクテリアアセンブリの話しが多かったですが、今回は色んな分野、本当に色んな分野のお話が聞けますよ。
国内ユーザ様、共同研究者様からのご講演
- PacBioロングリードが可能にするクモ及びクマムシのゲノム解析(慶應義塾大学先端生命科学研究所・荒川和晴様)
- 次々世代シーケンサーPacBio RS Ⅱの医療・環境・農工学へのインパクト2015(一般社団法人 沖縄綜合科学研究所・中野和真様)
- GCリッチで3.3Kbの長さの反復配列をPacBioで読む(東京医科歯科大学難治疾患研究所・田中裕二郎様)
- PacBioによるアズキゲノム解読(国立研究開発法人 農業生物資源研究所・坂井寛章様)
- HLA研究におけるロングリードのアドバンテージ(金沢大学 医薬保健研究域医学系革新ゲノム情報学分野・細道一善様)
- PacBio RSIIにより実現する次世代型1分子計測(東京大学大学院理学系研究科・小森智貴様)
- ロングリードシーケンス向けライブラリー作製に適したサイズセレクション装置の選択(日本ジェネティクス株式会社・鈴木智様)
- BioNano Irys systemがもたらすNext-Generation Mapping(NGM)(アズワン株式会社・上向健司様)
海外招待講演
- Using SMRT Sequencing Technology to Generate Long Read Data Toward Medically Relevant Applications Encompassing Germline, Somatic, and Infectious Disease(Department of Genetics and Genomic Sciences, Icahn School of Medicine at Mount Sinai Robert P. Sebra様)
海外ドライ系の会社からの発表
- Fast and Accurate Reference Quality de novo Assembly of Tobacco(DNAnexus Inc.)
すみません、講演の順番は調整中です。
このうち、東京大学の小森様の発表はとてもユニークです。
RSIIをシークエンサーとしてではなく、次世代型蛍光顕微鏡として使用している例をご紹介いただきます。世界でも非常に珍しいと思いますよ。
アメリカ Mount Sinai Medical School からの招待演者については、未だタイトルが決まっていませんが、内容はこんな感じで考えてもらっています。
- 前回紹介したときよりも、もっとすごいインパクトのあるデータ
- 進行中のプロジェクトや将来に向けたクリニカルシークエンスプロジェクト
- ヒト以外のゲノムについても、いつくか紹介
- Sequelのデータも、もし "cool enough" なら公開(楽しみですね)
ご存知の方もいるかもしれませんが、演者の Dr. Bobby Sebraは、創業間もない時期のPacBio社員。
PacBioの装置も試薬も知り尽くしているからこそ、挑戦的な実験もどんどんやっているそうです。
彼のボスは元PacBioの Chief Scientific Officer、Dr. Eric Schadtです。
Roche Bioscience社にて研究をしていたこともあるDr. Schadtは、当然Roche社とも太いパイプがあるでしょう。3台あるRSIIのうち1台は、かつての454研究所にあるという。
そんな背景があってかどうか、新型装置Seqeulのアーリーユーザです。
増えました。DNAnexus社です
新型装置Sequelについて、聞きたいことがあるかたもいらっしゃると思います。
それについて知る良い機会かもしれませんね。
参加登録はこちらから
2016年1月21日木曜日
SMRT Grant Program アメリカ版フリーシークエンスキャンペーン
前々回のNGS現場の会で、私たちはPacBioフリーシークエンスキャンペーンを行ないました。
あのときは結構奮発して、4名の方にそれぞれ8セルずつ、無料でシークエンスしました。
いろんな学会等で発表して頂いて、論文になった例もあり、マーケティングとしては大成功!
さて、今年、今度はPacBio本社から少し魅力的なフリーシークエンスキャンペーンのお知らせがあります。
その名もSMRT Grant Program
応募者の中から5名が選ばれ、PacBio社員ではなく外部の科学者に評価してもらい、最終的に1名に絞り込まれます。
このラッキーな1名には、Sequelで10セル分のシークエンスをプレゼント!
というもの。
対象はゲノムアセンブリ、Iso-Seq、生物種は問わず
メチレーションは対象外
解析はドイツのバイオインフォ会社、Computomicsが担当、実験はPacBioまたはPacBioの協力会社が担当します。
PacBioの装置や試薬を買う必要は全くありません。
最終的には今年中に解析まで完了し、翌年のPAGで発表!というのがゴールです。
なので、あまり複雑な実験(1年で完了しないような実験)は採用されない可能性が高いです。
Sequelで10セルといえば、50Gb以上。結構大きなゲノムでもアセンブルできそう。
既にIlluminaやBioNanoのデータがある、という方も、Pacとハイブリッドでアセンブリを完成させるのはどうでしょう?
ノミネートされながらも当選から漏れた4名の方には、それなりに何かいいことがあるそうです。
ここはケースバイケース
興味がある方は、こちらから応募してください。
英語で120単語の簡単なプロジェクトの説明を書いてください。
応募に必要なのはたったこれだけ。
締め切りは今月末1月31日です。(これまた急ですみません)
ちなみにこのGrant Programに関して、私は直接は関与してません。
PacBio本社とダイレクトに連絡し合って結構です。
さて、
「第二回PacBio現場の会」セミナーワークショップ@秋葉原UDXまであとおよそ1ヶ月!
参加はこちらからどうぞ
さまざまな分野からの面白い発表が聞けますよ。
参加者の中にも、ユーザの方や共同研究の方、ウェット、ドライ、様々なバックグラウンドの方、初心者から玄人まで、たくさんいらっしゃいます。
是非ご参加ください。
間もなく演者のご発表内容もアップデートします。
お楽しみに。
2016年1月18日月曜日
ベルギービールは好きですか?
仕事の後の一杯はビール、というひとも多いでしょう。
日本の大手ビール会社が売っているビールはラガービールがほとんどですよね。
クラフトビールのブームで、エールビールも最近は多く流通しています。
ラガーとエールの違いは、発酵の温度と酵母。
5~10度で1週間、下面発酵させるのがラガービールで、「切れ」が特徴。
15~25度で3、5日間、上面発酵させるのがエールビールで、「香り」が特徴。
最初の発酵は1次発酵といわれ、その後、貯蔵タンクで2次発酵に移ります。
ちなみにビールの苦味は、最後の仕込み段階で入れるホップの量に左右されます。
なーんてことは、サッポロビール園に行けば教えてもらえます。
さて、そのラガーやエールとはまた別の種類、自然発酵ビールというのも存在します。
ベルギービールが有名ですが、古くは樽の内側についていた酵母の働きを利用して、自然に発酵させて作られたビールらしいです。
有名なものには、ブリュッセル南西を流れるゼナ川周辺にのみ生息するらしい野生酵母を使って木製樽の中で二次発酵される、ランビック・グース。(ウィキペディアの情報より拝借)
修道院の維持と修繕費確保のために作られている、トラピストビールの、オルヴァル。
いずれもかなり特徴のある味ですよ。
オルヴァルは、ホップが利いて苦味が強めです。
アルコールは6.2%、12~14Cが飲むのに最適らしいのでグラスに注いで少し待ってから飲んだほうが良いと思います。
これら自然発酵ビールは、3次発酵というプロセスがあり、そこでまた別の酵母を入れたりするそうです。
このように、最後の香り付けのために酵母を入れることは、ワインなどでも行なわれます。
さて、そんな酵母のひとつに、Dekkera bruxellensis があります。
Dekkera bruxellensis の特徴について詳しく知りたいかたはこちらの文献をどうぞ。
その酵母をテストサンプルとして、ショートリード、PacBio、OptGenで読んでアセンブルした論文がこちら↓
彼らはこの論文で、NouGATという解析パイプラインを作った、と紹介しています。
ヌガー、って発音すると思いますが、これ、フランスのお菓子の名前です。
解析パイプラインにお菓子の名前をつけるなんて洒落てますね。
GitHubでNouGATって検索してみて下さい。
このパイプラインは、3rdパーティのアセンブリからマッピングまでのツールをまとめて、途中クオリティチェックなどをやってくれるそうです。
とはいえ、公開されているNouGATは、PacBioのデータにはまだ対応していない模様・・・。
残念というか、何と言うか・・・
彼らがこのゲノムアセンブリにショートリードとPacBioとOptGenを使っていますが、OptGenはどんなデータなのでしょうね。今ならPacBioでも十分長い配列が得られると思ったのですが。
ちなみに、私がお勧めする、ベルギービールに特化してかつ雰囲気いい店は、
ビアカフェ・ド・ブルージュ(神戸・三宮)
アントワープ・セントラル(東京・大手町)
グラン・ドルフィンズ(大阪・心斎橋)もこじんまりとして良い雰囲気の店だったけど、今検索したら閉店したらしい・・・
輸入ビールなので、お値段ちょっと高めです。
なので私は、イオンの酒屋とかで買って、家呑みすることの方が多い。
日本の大手ビール会社が売っているビールはラガービールがほとんどですよね。
クラフトビールのブームで、エールビールも最近は多く流通しています。
ラガーとエールの違いは、発酵の温度と酵母。
5~10度で1週間、下面発酵させるのがラガービールで、「切れ」が特徴。
15~25度で3、5日間、上面発酵させるのがエールビールで、「香り」が特徴。
最初の発酵は1次発酵といわれ、その後、貯蔵タンクで2次発酵に移ります。
ちなみにビールの苦味は、最後の仕込み段階で入れるホップの量に左右されます。
なーんてことは、サッポロビール園に行けば教えてもらえます。
さて、そのラガーやエールとはまた別の種類、自然発酵ビールというのも存在します。
ベルギービールが有名ですが、古くは樽の内側についていた酵母の働きを利用して、自然に発酵させて作られたビールらしいです。
有名なものには、ブリュッセル南西を流れるゼナ川周辺にのみ生息するらしい野生酵母を使って木製樽の中で二次発酵される、ランビック・グース。(ウィキペディアの情報より拝借)
修道院の維持と修繕費確保のために作られている、トラピストビールの、オルヴァル。
いずれもかなり特徴のある味ですよ。
オルヴァルは、ホップが利いて苦味が強めです。
アルコールは6.2%、12~14Cが飲むのに最適らしいのでグラスに注いで少し待ってから飲んだほうが良いと思います。
このように、最後の香り付けのために酵母を入れることは、ワインなどでも行なわれます。
さて、そんな酵母のひとつに、Dekkera bruxellensis があります。
Dekkera bruxellensis の特徴について詳しく知りたいかたはこちらの文献をどうぞ。
その酵母をテストサンプルとして、ショートリード、PacBio、OptGenで読んでアセンブルした論文がこちら↓
彼らはこの論文で、NouGATという解析パイプラインを作った、と紹介しています。
ヌガー、って発音すると思いますが、これ、フランスのお菓子の名前です。
解析パイプラインにお菓子の名前をつけるなんて洒落てますね。
GitHubでNouGATって検索してみて下さい。
このパイプラインは、3rdパーティのアセンブリからマッピングまでのツールをまとめて、途中クオリティチェックなどをやってくれるそうです。
とはいえ、公開されているNouGATは、PacBioのデータにはまだ対応していない模様・・・。
残念というか、何と言うか・・・
彼らがこのゲノムアセンブリにショートリードとPacBioとOptGenを使っていますが、OptGenはどんなデータなのでしょうね。今ならPacBioでも十分長い配列が得られると思ったのですが。
ちなみに、私がお勧めする、ベルギービールに特化してかつ雰囲気いい店は、
ビアカフェ・ド・ブルージュ(神戸・三宮)
アントワープ・セントラル(東京・大手町)
グラン・ドルフィンズ(大阪・心斎橋)もこじんまりとして良い雰囲気の店だったけど、今検索したら閉店したらしい・・・
輸入ビールなので、お値段ちょっと高めです。
なので私は、イオンの酒屋とかで買って、家呑みすることの方が多い。
2016年1月8日金曜日
間もなくPAG - PAGでの情報いろいろ
私は日本にいますが、サンディエゴではPAG Plant Animal Genomics 学会が開かれます。
ここではもちろん、PacBioがブースを出します!
私も毎年参加したいなあ、と思っているのですが、ちょっと個人的な理由でこの時期は無理なのです。来年こそは!
さて、日本から、まるでPAGに参加しているかのように、宣伝します!
これらの発表はもちろん、RSIIを使った仕事です。
Sequelを使った仕事はまだ出てきていないので、そのうちですね。
PacBioのワークショップは、PAGに参加できないひとでも、後でビデオでみることができます!
レジストレーションしたいかたは、こちらからどうぞ。
Request recording にチェックを入れて、名前・所属とメールアドレスを書いて、Submit !
これを忘れた方で、後で録画が欲しいかたは私にお知らせ下さい。後でリンクをお送りします。
さて、PAGの後は、2月にAGBTがありますよね。
残念ながらAGBTも不参加ですが、その学会でのPacBioに関する情報はほぼ入ってくるので、またUpdateします。
AGBTの次は、
2月23日(火)に秋葉原で行なわれる、「第二回PacBio現場の会」ワークショップセミナー
こちらは皆さんも、参加費無料ですから、是非ご参加下さい!
PacBioの社員も来る予定です。
ここではもちろん、PacBioがブースを出します!
私も毎年参加したいなあ、と思っているのですが、ちょっと個人的な理由でこの時期は無理なのです。来年こそは!
さて、日本から、まるでPAGに参加しているかのように、宣伝します!
この資料はこちらからPDFでダウンロードできますよ。
Sequelを使った仕事はまだ出てきていないので、そのうちですね。
PacBioのワークショップは、PAGに参加できないひとでも、後でビデオでみることができます!
レジストレーションしたいかたは、こちらからどうぞ。
Request recording にチェックを入れて、名前・所属とメールアドレスを書いて、Submit !
これを忘れた方で、後で録画が欲しいかたは私にお知らせ下さい。後でリンクをお送りします。
さて、PAGの後は、2月にAGBTがありますよね。
残念ながらAGBTも不参加ですが、その学会でのPacBioに関する情報はほぼ入ってくるので、またUpdateします。
AGBTの次は、
2月23日(火)に秋葉原で行なわれる、「第二回PacBio現場の会」ワークショップセミナー
こちらは皆さんも、参加費無料ですから、是非ご参加下さい!
PacBioの社員も来る予定です。
2016年1月7日木曜日
今年もやります「PacBio現場の会」ワークショップセミナー@秋葉原 2月23日(火)
NGS現場の会メーリングリストに登録されているかたは既にご存知かもしれませんが、今年も、「PacBio現場の会」と称したワークショップセミナーを東京で行ないます!
【「第二回PacBio現場の会」ワークショップセミナー】
これはPacBioに関心のあるすべての研究者向けのセミナーイベントです。
すべて、というのはつまり、「PacBioの名前は聞いたことあるけれど、良く知らない」という方でも、「PacBioデータ解析をやっているけれど他のひとはどういうふうにしているのかなあ」という方でも、「うちはショートリードしか使ってないけど何となくロングリードの情報も知りたいなあ」という方でも、参加OKということ。
初心者から達人まで、満足できる内容にしたいと思います。
参加費用は、無料!
使用言語は、日本語(海外ユーザ様の発表は英語です)です。
日時:
2016年2月23日(火)
10:15~17:30(9:45受付開始 終了時間は若干変更の場合があります)
ちなみに過去30年間の2月23日の東京の天気は、このサイトによると、
最高気温の平均:12.3度(昨年は19.2度、一昨年は8.3度)
最低気温の平均:4.2度(昨年は6.2度、一昨年は2.9度)
1mm以上の降水があった日は、7日(23%)
ま、これで今年の天気がわかるわけではありませんが、ご参考に(笑)
場所:
東京 秋葉原UDX 6階、UDX Conference Room A+B
アクセス:秋葉原から徒歩5分くらい ここ
UDXの6階です。お間違えなく!
定員 100名を予定しています
こんな感じの部屋 |
PacBioユーザ様や、実際に実験・解析を行なった研究者からのご発表
PacBio最新情報の紹介
PacBio実験にあると良い、周辺装置の紹介と展示
Sequel Systemデモ機展示
NGS解析の強力ツールの紹介(これは、PacBioとは直接は関係ない、例のアレです。初公開デモします)
その他、わくわくするようなこと
講師の方々(発表順ではございません):
- 荒川和晴先生(慶應義塾大学 政策・メディア研究科)
- 小森智貴先生(東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻 光計測生命学講座 )
- 坂井寛章先生(国立研究開発法人 農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター)
- 田中裕二郎先生(東京医科歯科大学 難治疾患研究所遺伝生化学分野)
- 細道一善先生(金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科・医薬保健学域医学類)
- 中野和真先生(一般社団法人 沖縄綜合科学研究所 研究開発部)
皆さん、PacBioのSMRTテクノロジーを使った実験・解析のプロです!
バクテリアから高等真核生物、ヒトのシークエンス、さらには、PacBioRSのシークエンサー以外の使い方、などなど、とても面白い話が聞けると思います。
タイトル、要旨については、来月上旬にアップデートします。
アメリカからの招待講演:
- Icahn School of Medicine at Mount Sinai Robert Sebra先生
Sebra先生は、前回も講演されましたね。PacBioRSIIを3台保有し、ヒトをはじめとする高等生物のアプリケーションに早くから挑戦されてきた第一人者です。また、PacBioの最新機種、Sequel Systemのアーリーアクセスユーザでもあります。
どんなお話が聞けるか楽しみですね!
協力メーカー様からの特別セッション:
- 日本ジェネティクス株式会社様 ランチョンセミナー(ということは、皆さんランチの心配は要りません! ライブラリのサイズセレクション用の機械、Blue Pippin、ELFの紹介です)
- アズワン株式会社様 コーヒーセッション (BioNano Genomics社のIrysの紹介です)
そして今回は、懇親会を会場近くのレストラン、プロント!で予定しています。
参加希望者は当日受付でお聞きしますのでお伝え下さい。
あ、その後の二次会はみなさんご自由に。
秋葉原で飲むも良し、神田まで出るも良し!です。
さて話を戻します。
ワークショップセミナー参加ご希望の方は、
http://www.digital-biology.co.jp/allianced/workshop/
から、
「第二回 PacBio現場の会」ワークショップセミナー [PBWS]
の項目をご確認頂き、
「カレンダーで確認」の、2月23日 PBWSリンクからご登録下さい。
前回同様、PacBioユーザ様との情報交換や、最新情報を得る貴重なワークショップにしたいと思っています。
是非お誘い合わせの上、ご参加下さい。
またプログラムが決まり次第アップデートします!お楽しみに!
2016年1月4日月曜日
休み中に読んだ本2冊
今日は1月3日、日曜日。「今年はいつもより正月休みが短い」と感じるかたもいるでしょう。
「正月なんか無い!仕事してる!」というかたもいると思います。
私も、今からずーっと昔、アルバイトで警備員やっていたときがあるんですが、年末年始は稼ぎ時でしたね。3日働いて10万円、ということもありました。泊り込みでしたけど。
さてさて今日は、昨年末から読んでいて正月休み中に読み終えた本の中から、これは良かった!と思えるものを2冊紹介します。
先ずは、感染症が人類の歴史にどう影響を与えてきたか、を知るのにはちょうど良い入門書
「感染症の世界史-人類と病気の果てしない戦い」石弘之(洋泉社)
じっくり読む専門書というよりも、さらさら読める感じ。
著者は朝日新聞社出身のジャーナリスト。その後、国連環境計画の上級顧問や、北大や農大の教授も勤めたらしく、難しいことを素人にもわかりやすく説明することが上手だ。
感染症の歴史は人類の歴史でもある。
人類が移動すると、感染症も移動する。
アメリカ新大陸への、ヨーロッパ人の移住は、原住民に天然痘やハシカなどの新しい感染症をもたらし、多くの部族が絶滅か絶滅寸前まで追い込まれた。
インカ帝国、アステカ帝国がスペイン軍に滅ぼされたのも、旧大陸から持ち込まれた天然痘によって人口が大幅に減ったことが原因だったらしい。
奴隷貿易によって、アフリカの風土病がアメリカに持ち込まれた。
旧大陸に戻ったヨーロッパ人は、新大陸で感染した梅毒などを母国で広めてしまった。
そして戦争。
戦争は、多くの兵隊を船で輸送したり、衣食住を共にしたり、時に不衛生な状況で生活することを余儀なくする。
有名なスペイン風邪(インフルエンザ)は、第一次世界大戦中のヨーロッパで感染爆発し、戦闘で死んだ兵隊よりも、インフルエンザで死んだ兵隊の方が多かった記録があるようである。
最終的にドイツ軍が降伏したのも、実は、戦う気力が無くなるほど、多くの兵士が病気に倒れたからだという説がある。
その後戦争が終わり、各国に引き上げていった兵士たちから、その国への感染が広がる。
感染は世界中に広がり、日本でも2,300万人が感染し、38万人以上が亡くなった。
当時の世界人口約18億人のうち、3分の1が感染し、世界人口の3~5%が亡くなったという。
現代は当時よりも、感染症の広がるスピードははるかに速い。
一昨年(2014年)のエボラ出血熱や、デング熱、その前のSARSなどは、感染症が飛行機でいとも簡単に移動できて広まってしまうことを思い知らされた。
どれだけ水際対策をしても、潜伏期間中の病気は空港チェックをすり抜けてしまう。
ハシカや水疱瘡、子宮頸がんなど、ワクチンで予防できる感染症もたくさんある。
日本はワクチン接種の後進国だそうだ。
副作用を恐れて接種しないよりも、接種しないで感染するリスクのほうが断然高い、と思うのだが。
さて、もう一冊は、ちょっと難しい本
「進化する遺伝子概念」ジャン・ドゥーシュ(みすず書房)
この本は、簡単にいうと、遺伝学の歴史を、フランス人の学者が書いた本です。
大学で生物をやったひとなら、1年生か2年生のときに学習する古典遺伝学(あのメンデル遺伝学です)を思い出してください。
そして、統計学の授業を思い出してください。
遺伝子とは何か?
これは簡単な様で素人に説明するには難しい問題です。
分子生物学を勉強したひとなら、ゲノムとか、エキソンとか、そういう概念がありますよね。
でもそんな概念すら知らない、例えば自分の親(文系)に説明するのは相当大変ですよ。
そもそも日本語が悪いんです。
遺伝子(Gene)と遺伝(Heredity)は、違う概念なのに漢字が同じって。
だから、「頭の良い遺伝子」とか「背が高い遺伝子」とか、わけがわからない。
遺伝子型Genotypeと表現型Phenotypeについても、例えば「この遺伝子がこの表現型を決定付ける」という話を良く聞く。
そのことについては、トーマス・モーガンが1928年に、ショウジョウバエの交配実験を通じて、ひとつの形質に対してひとつの遺伝子が対応するという考えを明確に否定し、またその逆、ひとつの遺伝子がひとつの形質に対応しているという考えも否定している。
モーガンといえば、今でも遺伝地図で使われる単位、センチモルガンで有名だ。
彼は、遺伝子と形質は決して1対1で対応する関係ではなく、もっと複雑であることを説いた。
それにしても、20世紀の初めにおいてもまだ、遺伝子と形質が1対1で対応するのか否かの論争が続いていたとはちょっと驚き。
メンデルの有名な法則の発表が1865年だから、半世紀以上も論争が続いていたことになる。
グレゴール・メンデルと言えば、エンドウマメを使って、豆の形質に法則性があることを発見し、遺伝子をA/a、B/bなど記号で表現することを発明、遺伝の法則性を数学で表現しようとした。
分散の統計概念がまだ無い時代に、メンデルは偶然によって結果が変わることを考慮し、1万以上の個体を観察した。
また、「Aとかaとかの形質を持つ花粉細胞や卵細胞は、受粉に対して対等に参加している」という理論を述べ、今まで一般に考えられていた、「雄が形質を決定し、卵は栄養分」だということは誤りだと指摘した。
減数分裂、が発見される前の話である。
メンデルはその後、遺伝学の一線から去る。
一説には、エンドウマメで得られた自らの理論を実証すべく、次に雑種実験の材料として選んだ生物のせいだとも言われている。
彼が選んだヤナギタンポポは、アポミクシスと呼ばれる単為発生によって繁殖するきわめて稀な被子植物で(もちろん彼は知る由も無く)、エンドウマメのときの法則はことごとく当てはまらなかった。
これにショックを受けて、自分の理論に自信が無くなったからだろうと、著者は想像している。
この本は遺伝学の歴史の本だけれど、最初の方にあるメンデル以前の話も面白かった。
なぜヒトが生まれるのか?
1677年、アントニ・ファン・レーウェンフックが顕微鏡を発明するまで、それは哲学的なものに近かった。
レーウェンフックが精液中の微小生物(精子)を発見すると、それ以来、精子の中にヒトの形をした胎児のようなものがまるごと入っていて、その胎児が男ならその精子の中にさらにヒトの形をしたものが入れ子のように無限に入っているのだと考えられるようになったそうな。
何でこんな荒唐無稽な理論が信じられるようになったのか?
当時の一流の学者は大真面目に「入れ子説」を信じていたのである。なぜか?
この本を読んで初めて気がついた。
レーウェンフックの精子発見のちょっと前、アイザック・ニュートンとゴッドフリート・ライプニッツによって微分学が発明・体系化された。
どちらが先に発明したのかは諸説いろいろあるようだが、とにかくこの2人の天才によって微分の概念、無限に小さいという概念が、学者の間に広まったのは確かだ。
また、顕微鏡の発明は、肉眼では観察できないミクロな世界が確かに存在する、ということを実証した。
そういう時代背景があれば、精子の中に小さいヒトの胎児がいて、そのまた胎児の精子の中に・・・ という考えも、あながち「あり」だったのかもしれない。
さて、天才ニュートンが微分や二項定理を発明したり、万有引力の法則を発見したりしたのは、1665年~1666年のこと。
当時ロンドンではペストが大流行、ケンブリッジ大学が閉鎖されていたそうです。
で、ニュートンは仕方なく故郷のウールスソープに田舎に疎開した。
ここでさっきの本「感染症の世界史」と偶然にもつながるんです。
雑務から開放されたニュートンは、研究に没頭し、いわゆる「驚異の一年半」で数々の業績を残します。
ちなみにペストは、現キルギス共和国のイシカルル湖周辺が発生地で、げっ歯類が自然宿主、シルクロードを渡る商人やオスマントルコ帝国によって西ヨーロッパに運ばれたとのこと。
1666年にロンドンの6割を消失する大火があってから、建物は全てレンガ作りにしなければいけない法律ができ、それ以来ネズミが減ってコレラも収まったらしい。
今日紹介したこの2冊はちょっと高いですが、それなりの価値はあるなあ、って感じました。
また時間が経ってから読み直したい本でもあります。
難しい本ばかり読んでるな、って?
いつもは、もっと気軽に読める軽い本ばかり読んでますよ。
恥ずかしくてブログでは紹介できないですけど。
いえいえ、普通の本です。
それでは皆さん、2016年も宜しくお願いします!!
「正月なんか無い!仕事してる!」というかたもいると思います。
私も、今からずーっと昔、アルバイトで警備員やっていたときがあるんですが、年末年始は稼ぎ時でしたね。3日働いて10万円、ということもありました。泊り込みでしたけど。
さてさて今日は、昨年末から読んでいて正月休み中に読み終えた本の中から、これは良かった!と思えるものを2冊紹介します。
先ずは、感染症が人類の歴史にどう影響を与えてきたか、を知るのにはちょうど良い入門書
「感染症の世界史-人類と病気の果てしない戦い」石弘之(洋泉社)
著者は朝日新聞社出身のジャーナリスト。その後、国連環境計画の上級顧問や、北大や農大の教授も勤めたらしく、難しいことを素人にもわかりやすく説明することが上手だ。
感染症の歴史は人類の歴史でもある。
人類が移動すると、感染症も移動する。
アメリカ新大陸への、ヨーロッパ人の移住は、原住民に天然痘やハシカなどの新しい感染症をもたらし、多くの部族が絶滅か絶滅寸前まで追い込まれた。
インカ帝国、アステカ帝国がスペイン軍に滅ぼされたのも、旧大陸から持ち込まれた天然痘によって人口が大幅に減ったことが原因だったらしい。
奴隷貿易によって、アフリカの風土病がアメリカに持ち込まれた。
旧大陸に戻ったヨーロッパ人は、新大陸で感染した梅毒などを母国で広めてしまった。
そして戦争。
戦争は、多くの兵隊を船で輸送したり、衣食住を共にしたり、時に不衛生な状況で生活することを余儀なくする。
有名なスペイン風邪(インフルエンザ)は、第一次世界大戦中のヨーロッパで感染爆発し、戦闘で死んだ兵隊よりも、インフルエンザで死んだ兵隊の方が多かった記録があるようである。
最終的にドイツ軍が降伏したのも、実は、戦う気力が無くなるほど、多くの兵士が病気に倒れたからだという説がある。
その後戦争が終わり、各国に引き上げていった兵士たちから、その国への感染が広がる。
感染は世界中に広がり、日本でも2,300万人が感染し、38万人以上が亡くなった。
当時の世界人口約18億人のうち、3分の1が感染し、世界人口の3~5%が亡くなったという。
現代は当時よりも、感染症の広がるスピードははるかに速い。
一昨年(2014年)のエボラ出血熱や、デング熱、その前のSARSなどは、感染症が飛行機でいとも簡単に移動できて広まってしまうことを思い知らされた。
どれだけ水際対策をしても、潜伏期間中の病気は空港チェックをすり抜けてしまう。
ハシカや水疱瘡、子宮頸がんなど、ワクチンで予防できる感染症もたくさんある。
日本はワクチン接種の後進国だそうだ。
副作用を恐れて接種しないよりも、接種しないで感染するリスクのほうが断然高い、と思うのだが。
さて、もう一冊は、ちょっと難しい本
「進化する遺伝子概念」ジャン・ドゥーシュ(みすず書房)
大学で生物をやったひとなら、1年生か2年生のときに学習する古典遺伝学(あのメンデル遺伝学です)を思い出してください。
そして、統計学の授業を思い出してください。
遺伝子とは何か?
これは簡単な様で素人に説明するには難しい問題です。
分子生物学を勉強したひとなら、ゲノムとか、エキソンとか、そういう概念がありますよね。
でもそんな概念すら知らない、例えば自分の親(文系)に説明するのは相当大変ですよ。
そもそも日本語が悪いんです。
遺伝子(Gene)と遺伝(Heredity)は、違う概念なのに漢字が同じって。
だから、「頭の良い遺伝子」とか「背が高い遺伝子」とか、わけがわからない。
遺伝子型Genotypeと表現型Phenotypeについても、例えば「この遺伝子がこの表現型を決定付ける」という話を良く聞く。
そのことについては、トーマス・モーガンが1928年に、ショウジョウバエの交配実験を通じて、ひとつの形質に対してひとつの遺伝子が対応するという考えを明確に否定し、またその逆、ひとつの遺伝子がひとつの形質に対応しているという考えも否定している。
モーガンといえば、今でも遺伝地図で使われる単位、センチモルガンで有名だ。
彼は、遺伝子と形質は決して1対1で対応する関係ではなく、もっと複雑であることを説いた。
それにしても、20世紀の初めにおいてもまだ、遺伝子と形質が1対1で対応するのか否かの論争が続いていたとはちょっと驚き。
メンデルの有名な法則の発表が1865年だから、半世紀以上も論争が続いていたことになる。
グレゴール・メンデルと言えば、エンドウマメを使って、豆の形質に法則性があることを発見し、遺伝子をA/a、B/bなど記号で表現することを発明、遺伝の法則性を数学で表現しようとした。
分散の統計概念がまだ無い時代に、メンデルは偶然によって結果が変わることを考慮し、1万以上の個体を観察した。
また、「Aとかaとかの形質を持つ花粉細胞や卵細胞は、受粉に対して対等に参加している」という理論を述べ、今まで一般に考えられていた、「雄が形質を決定し、卵は栄養分」だということは誤りだと指摘した。
減数分裂、が発見される前の話である。
メンデルはその後、遺伝学の一線から去る。
一説には、エンドウマメで得られた自らの理論を実証すべく、次に雑種実験の材料として選んだ生物のせいだとも言われている。
彼が選んだヤナギタンポポは、アポミクシスと呼ばれる単為発生によって繁殖するきわめて稀な被子植物で(もちろん彼は知る由も無く)、エンドウマメのときの法則はことごとく当てはまらなかった。
これにショックを受けて、自分の理論に自信が無くなったからだろうと、著者は想像している。
この本は遺伝学の歴史の本だけれど、最初の方にあるメンデル以前の話も面白かった。
なぜヒトが生まれるのか?
1677年、アントニ・ファン・レーウェンフックが顕微鏡を発明するまで、それは哲学的なものに近かった。
レーウェンフックが精液中の微小生物(精子)を発見すると、それ以来、精子の中にヒトの形をした胎児のようなものがまるごと入っていて、その胎児が男ならその精子の中にさらにヒトの形をしたものが入れ子のように無限に入っているのだと考えられるようになったそうな。
何でこんな荒唐無稽な理論が信じられるようになったのか?
当時の一流の学者は大真面目に「入れ子説」を信じていたのである。なぜか?
この本を読んで初めて気がついた。
レーウェンフックの精子発見のちょっと前、アイザック・ニュートンとゴッドフリート・ライプニッツによって微分学が発明・体系化された。
どちらが先に発明したのかは諸説いろいろあるようだが、とにかくこの2人の天才によって微分の概念、無限に小さいという概念が、学者の間に広まったのは確かだ。
また、顕微鏡の発明は、肉眼では観察できないミクロな世界が確かに存在する、ということを実証した。
そういう時代背景があれば、精子の中に小さいヒトの胎児がいて、そのまた胎児の精子の中に・・・ という考えも、あながち「あり」だったのかもしれない。
さて、天才ニュートンが微分や二項定理を発明したり、万有引力の法則を発見したりしたのは、1665年~1666年のこと。
当時ロンドンではペストが大流行、ケンブリッジ大学が閉鎖されていたそうです。
で、ニュートンは仕方なく故郷のウールスソープに田舎に疎開した。
ここでさっきの本「感染症の世界史」と偶然にもつながるんです。
雑務から開放されたニュートンは、研究に没頭し、いわゆる「驚異の一年半」で数々の業績を残します。
ちなみにペストは、現キルギス共和国のイシカルル湖周辺が発生地で、げっ歯類が自然宿主、シルクロードを渡る商人やオスマントルコ帝国によって西ヨーロッパに運ばれたとのこと。
1666年にロンドンの6割を消失する大火があってから、建物は全てレンガ作りにしなければいけない法律ができ、それ以来ネズミが減ってコレラも収まったらしい。
今日紹介したこの2冊はちょっと高いですが、それなりの価値はあるなあ、って感じました。
また時間が経ってから読み直したい本でもあります。
難しい本ばかり読んでるな、って?
いつもは、もっと気軽に読める軽い本ばかり読んでますよ。
恥ずかしくてブログでは紹介できないですけど。
いえいえ、普通の本です。
それでは皆さん、2016年も宜しくお願いします!!
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