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1月も終わり、アメリカの有名学会、AGBTが近づいてきました。
私も例年通り、あたかも行って見てきたかのような(笑)、レポートをしたいと思います。
今年のPacBioの目玉は、やっぱりSequel
あの会社と合同シンポジウムをするとかで、注目度は上がっていますよ。
さて、AGBTと言えば・・・
以前、AGBTのPacBioワークショップにて、Cold Spring Harbor LaboratoryのDr. Dick McCombieが、PacBioでHer2-増幅乳がんセルラインのゲノムを読んだ発表があった、とお伝えしました。
そのMcCombie氏の共同研究者でもある、Dr.Mike Schatz
Schatz氏のインタビューが、ここから聞けます。
とてもはっきりとしたきれいな英語なので、聞き取りやすいし、リスニングの練習にもなるかも。
話題は、そのがんゲノムアセンブリの話やロングリードの話にとどまらず、将来的に必要とされる、次世代ゲノムブラウザの話に及びます。
次世代ゲノムブラウザ?
ひとつお断りすると、Schatz氏は実際にはこう呼んでいません。すいません。
今のようにひとつのリファレンス配列にマッピングしてジェノタイピングをするのではなく、人種ごとにもっと多くのリファレンス配列が必要です。
この、「人種別リファレンス計画」が実現味を帯びてきたのは、やはりロングリードの技術革新。PacBioを使えば、これまで国際プロジェクトだったプロジェクトも、数箇所の大学や企業との共同研究で、数年で完結できる。
2016年はそんな成果がどんどん出てくる年になります。
さて、PacBioなどの技術をフル活用して人種ごと、あるいはもっと細かいレベルの集団のリファレンス配列を作ったとします。
たぶんそういった細分化されたリファレンスゲノムは、人種ごとに大きく違う。
個人ゲノムをどんどん読んで、マッピングしてジェノタイピングするには、できるだけその人に似た集団のリファレンスを選ぶようになるでしょうね。
また、どんどん集団が細分化されて、リファレンスそのものの定義も将来変わってくるでしょう。
将来的には個人レベルでゲノム配列が決定される時代がくるかもしれない。
がんなど、Somaticな変異を見たい場合は、個人ゲノム配列があったほうが良いでしょうね。
今はまだ、個人ゲノムシークエンスといっても、ゲノム配列を決定しているわけではありません(これを読んでいるひとはわかると思いますが、結構誤解されるひともいるので念のため)。
そうなってくると、UCSCゲノムブラウザのように1本のリファレンス配列を表示、というわけにはいかないでしょう。
どんなブラウザが良いのか?
ヒトゲノムのアセンブル結果を、その後のジェノタイピングまで考えた上で、わかりやすく表示するのにはどうしたら良いのか?
若いバイオインフォマティシャンたちに期待するところです。
個人的には、2012年のNGS現場の会(大阪)にて、誰かの開発した「3次元ゲノムブラウザ」を見せてもらって、ああ、これいいな、と思った記憶があります。
でも人間の頭は2次元ゲノムブラウザに慣れている?から、3次元で表現された情報が万人に受けるには時間がかかりそう。
でも、今のゲノムブラウザでは早晩限界が来ると思っています。
想像ですが、この技術革新は、NIHや大学や国際コンソーシアムなどが作るより先に、Googleなどの企業から生まれてくる気がします。
この手のプラットフォームを確立させてしまえば、クリニカル現場に膨大な影響を及ぼすことができますからね。マーケティングもうまいし。
もうどっかのベンチャーが開発しているかも。
最後に、Schatz氏はインタビューでも言っていますが、Cold Spring Harbor LaboratoryでもSequelを購入。これからヒトゲノムをいくつも読む予定だそうです。
余談ですが、Schatz氏は昨年子供が産まれ、ASHG前日のPacBioパーティでは赤ちゃんを抱っこして回っていました。終始パパさんの顔でしたよ。
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