2019年4月13日土曜日

PacBioのおもひで その10

ゲノム微生物学会、だったかな? 
これは京都のISHG


そしてSequelがメインになった

RSIIでは無理だった、デモ機の展示がSequelになってできるようになりました。トミーやPacBioの展示ブースで皆さんご覧になったであろうこのディスプレイ用デモ機は、世界中を展示会から展示会へとまさに飛び回りました。私も輸出入手続きしましたので覚えています。

Sequelは、詳細は明らかにできませんが、RSIIと比べてシンプルにできています。RSは機械というより「装置」でした。Sequelになって大きなレーザーもコンパクトになった。部品もモジュール化され修理もシンプルになった。

性能は、試薬バージョンアップを重ねるにつれてリード長も伸び、セルあたりの出力本数も増えてきた。でもまだ、RSIIの性能と比べて圧倒的に良いというわけではなかった。これは、
  1. Sequelのスループットはバクテリアサイズのゲノムに使うには大きすぎる(のちにサンプルごとにバーコードをつけて複数同時に読むことで解決した)
  2. リード長を伸ばすため、シークエンス時間を伸ばしていったが、10時間、20時間と伸びていくにつれ1ランが何日にも及ぶことになった(これはジレンマだ。長いリードを得るためにはやはり長い時間が必要ということだ)
という制限があったから。
RSIIはその点、1セル1ラン6時間で簡単にバクテリアゲノムが決まる。平均リード長も10kb以上は普通に出る。Sequelがリリースされてから2年間、RSIIの試薬のバージョンアップは無かった。それでもRSIIは現役で今(2019年)でも色々な場で活躍している。


中国の大人買い

RSからRSIIの時代は、日本はアジアでトップの台数と稼働率を誇っていた。おそらく世界的に見ても、アメリカ、イギリスについで日本は3番目くらいだったと思う。ドイツ・フランスも同じくらいか。しかしSequelが出るちょっと前くらいから中国の大人買いが始まる。HiSeq X10が入ったような場所ではNGSを複数台持つことがステータスなのか、RSIIやSequelを複数台買うようになった。

うちは10台持ってます。うちは20台持ってます。なんていうのが宣伝文句になっていた。あっという間に日本は台数で負けた。数字ってわかりやすいから、論文の数では勝っていたのに、日本は中国に負けた気がした。
中国は10台買っても動いているのは数台じゃないか、と思っていたけど実際に聞いたらフル稼働していた。やっぱり中国は本気出すと凄いな、と感じた瞬間だった。

お隣、韓国もすごかった。1箇所で数台持って、韓国人リファレンスゲノムをあっという間に完成させた。国のイニシアティブも強かったのだろう。この頃から、日本はゲノムの分野で中国、韓国に大幅に遅れを取るようになったと思う。



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